第一章 〜囚われの少女〜
笑う首と望む結末
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ああ、きっと、神様と3人で笑って見ているのだわ』
ひざまずき、
『さぞかし滑稽なのでしょう』
私が死んだ。
『こうして何度も私を殺してくださって』
繰り返す。
私が死んでしまったのは、一体いつなのだろう。いつの間にか私は死んでしまったのだろうか。
私はわらう。私がわらっている。私だけがわらっていた。
そこら中に、死んだ私が転がっていた。
首は宙に浮かび、こっちを見てワラったり、ぐるぐる回ったりする。
そうしているうちにまた、今の私も首になった。
本当の私がどれかなんて、考えるだけヲカシクて、また私はワラっていた。
――
「やっぱり――ここへ来たのね」
資料保管庫の扉を少女が開ける頃、黒マントの男は、金髪の少年を抱きかかえたまま、そこに立ち尽くしていた。
大きな筒のような部屋は相変わらず、その天井にまで本がぎっしり詰まっているのだが、全く別の部屋の様だった。
今のこの部屋に男は先ほどの、束縛されているような、居心地の悪さを感じなかった。
「教えてくれ。一体どういう事なのか……本の中に入ってから何がどうなったんだ? ――ここは一体、どこだ。ここから出るには一体どうすれば……」
漠然とした心境が、男の口から次々とこぼれ出る。それに対し、問われる少女は、まるで全てを知っているかのように冷静だった。
「はぁ……ったく。そんなに一度に質問しないでよね。そんなの自分で考えたら?」
すがるような思いをため息まじりで返された男は、ため息を吐き、舌打ちする。
「くそ……」
「――なんてね」と、おどけるキャスリン。
「あなたにヒントをあげるわ。私ってやさしいでしょ?」
男はまたしても拍子抜けをくらってしまった。
(……ふざけやがって)
少女は今の状況を楽しんでいるのだろうか。行き詰った男を見て笑っているのだとしたら、すこし趣味が悪いのかもしれない。
「ここは本の中の世界なの。……わかってると思うけど」
少女はぽつんと言葉を発するが、それが男にはいちいち嫌味ったらしく聞こえた。それでも苛立ち、焦る心を抑え、男は少女の言葉に耳を傾ける。
「そして物語の主人公は、あなた。……いえ、本当のあなたよ」
「本当の……」
(俺……)
少女の言葉に男の心は揺れる。
「逃げないで、目を逸らさないで。この物語は、本当のあなたでないと進まない。……望む結末は、主人公が望む物語を演じなければ得られないの」
この言葉はどういう意味なのか、少女が敵なのか味方なのかさえ、男にはわからない。けれども、今はその言葉を信じるしかなかった。
「……で、どういう事だ?」
しかし、理解が追いつくのとはまた、この男には別問
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