出し抜く術
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いでくる。
「どうしたどうした?一撃も届いてないぞ?」
「くっ・・・」
片側の棒で遠距離攻撃を放ち、もう片方で防いで近距離の攻撃へも対応してくる。おまけに・・・
「ハァッ!!」
体を反転させて先程放たれた棒を弾き飛ばす。鎖で棒と棒とをくくりつけているから一定の範囲にまでしか飛ばず、引き寄せれば戻ってくる。それはわかるんだけど、相手の動きには一切引き戻そうとしている様子がない。しかも、それなりに距離を開ければ届かないと思って下がると、鎖が伸びてきて確実に捉えてくる。
「パーンチ!!」
「ぐほっ!!」
弾かれた棒を引き戻そうと視線を向けているカラスに後ろから拳を叩き込むセシリー。後ろからの攻撃には対応できないらしくちょいちょい当たるんだけど、正面の攻撃は全然届かない。すごい反応速度だ。
「いててて。いくら女の子でも二人は卑怯だろ」
「女の子じゃない!!」
前後を挟むように退治している俺とセシリーに、殴られた箇所を擦りながら愚痴をこぼす。それには俺も同意だけど、こちらはここで戦闘をするつもりがなかったので、準備を一切整えていない。これくらいは多目に見てほしいものだ。
「ま、ダメージは全然ねぇけどな!!」
ほとんどノーモーションで攻撃を仕掛けてくる。それを見てセシリーは翼を出しジャンプで避けようとするが、あろうことか放たれた武器の軌道が変化し、飛び上がったセシリーに直撃する。
「わぁぁぁぁぁ!!」
「セシリー!!」
打ち落とされて地面に叩き付けられるセシリー。彼女に向かってカラスは歩み寄ろうとしていたので、後ろで両手の中央に魔力を集める。
「雲竜水!!」
「!!」
振り向き様に持っている武器で攻撃を防ごうとするが、威力に負けて名前もわからぬ不思議な形状の武器は後方へと弾かれていた。
「わっ!!やべっ!!」
慌てて武器に向かって走っていくカラス。丸腰の彼を狙い打とうかとも考えたが、今は守りを固めるべきだと考えてセシリーの元へとかけていく。
「立てる?」
「ありがと〜」
手を差し出して彼女を立たせる。その間に相手も武器を拾い上げたようで、状況は元通りといったところか。
「動きが早いね〜」
「うん。あの武器もなかなかだよね」
アイーアの村での話だと、彼は魔導士ってことだったから、たぶんあの武器は魔力で操っているんだろう。軌道や鎖の長さ、それらを持っている手から流し込む魔力でコントロールしているはず。
「使い方さえわかっちゃえば大丈夫かな?セシリー!!」
「うん〜?」
攻撃の方法は理解できた。それならと相棒に視線を向けてアイコンタクトを送る。それを受けた彼女も何をするのか理解したらしく、コクッと一度うなずいた。
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