第7章 聖戦
第157話 聖スリーズの託宣
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の言葉を真っ向から批判出来る人間はいないと思う。
しかし――
「これは我が父たる大いなる意志の試練」
おそらくは原罪に塗れ、神の名を騙り、己が欲望にて戦を始めた人すべてに対する試練です。
一瞬、優しげな表情を浮かべた彼女が、しかし、次の瞬間には少し厳しい表情でそう告げて来るティターニア。
成るほど、神の試練か。
そう小さく独り言を呟く俺。
おそらくこれは、全人類の原罪を背負ってゴルゴダの丘に消えた救世主の似姿。但し、この聖戦が起きた本当の理由は、おそらく這い寄る混沌や名づけざられし者が暗躍した結果に過ぎない。そして、その二柱の邪神がこのハルケギニア世界に自分からの意志で関わって来たとは考え難い以上、奴らに力を求めた人間が最初に居る……と言う事なのだと思う。
もっとも、歴史をある程度、自分たちの思い通りに改竄出来る奴らなので、確実に現在から見た過去の時点でクトゥルフの邪神に力を求めた人間が居るとは限らない。……と言うか、このハルケギニア世界の人間が力を求めた訳ではなく、異世界の人間が力を求めた挙句、その悪い影響がこのハルケギニア世界に及んでいる可能性すらある……とも考えられるのだが。
そう、どうにも気になるのは夜空に浮かぶ蒼い月。……つまり、異世界の地球の姿。月は古来より魔物や術に強く影響を与える。其処に本来なら存在しないはずの偽りの月が存在して居り、更に、もうひとつの本当に存在している地球の衛星の月が警戒色の紅に染まっている……などと言う状況。
矢張りこの辺りが無関係だとは考えられないのだが。
ただ今は……。
「神は乗り越えられない試練を与える事は有りませんよ、王太子ルイ」
神の試練を持ち出されたらどうしようもない。それに、そろそろ頃合いでしょう。
そう考え、片膝を付いた形からゆっくりと立ち上がる俺。
これはそれまで観衆の注目を一身に浴びていたティターニアから主役の座を受け取る行為。男性とするなら……おそらく、ガリア王家の男性とすればかなり華奢な体型と言える俺なのだが、それは少年期を未だ大きく出てはいない年齢を理由に帳消しにしてくれる……はず。蒼い髪に優雅な仕草が、生まれついての高貴な者を連想させる、少年から青年への階に足を掛けた……見る者を少し不安にさせる存在。
良い意味でも。また、悪い意味でも見ている者を少し不安にさせる微妙な存在。
時は夕刻の一歩手前。正確な時間は分かりかねるが、広く取られた回廊の窓から差し込んで来る明かりが、今は少し夕刻の色へと変化し始めている。
何もかもに中途半端な俺に相応しい、どっちつかずの曖昧な時間帯。
そして次の瞬間、俺の頭上で強烈な光が発生!
そうこの時、ルルドの村で斬り跳ばされ、自らの召喚の為の
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