第7章 聖戦
第157話 聖スリーズの託宣
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の三人の受難に対する予言が行われる可能性が高い。そして、其処から更に推測を進めると、今のガリアでロマリアの教皇の死亡を予言したトコロで意味はない……とまでは言わないが、それでも効果は薄いと思う。
少なくとも、今現在、ガリアに対して侵略戦争を仕掛けて来ている国の首魁の死を予言したトコロで、誰も心を痛めはしないでしょう。まして、ガリアでは主流の新教に取って旧教の教えと言うのは間違った……本来の正しい神の教えを自分たちに都合が良い形に歪めた教えだと考えている。その間違った、歪められた教えを広めている連中の親分。
こんな相手の死の予告はガリアやその国民に取っての朗報以外の何者でもない。
ただ同時に、俺の死を予言したトコロでガリアに意味があるとも思えないのだが。
「聖スリーズ、それが神の御意志なのでしょうか?」
はてさて、これから先にどう言う道筋で答えたら良いのか分からないのだが……。そう考えながら、問い返す俺。流石にこの言葉をそのまま簡単に受け入れるのは問題が大き過ぎる。何故なら、この予言に関して言うのなら、俺に取ってはどちらとも言えないが、ガリアに取ってはメリットよりもデメリットの方が大きい、と思うから。
メリットの方は、これで妙に名前の大きく成り過ぎたガリア王太子ルイを穏便に退場させる事が容易となる可能性を作る事が出来る点。将来、ジョゼフがこの役を受け継ぐ時に、現状の俺が得ている名声は非常に厄介な物と成る。ならば、王位を継ぐ前。しかし、この聖戦やヤルダバオート顕現などと言う人の能力を遙かに超えた、偽りとは言え神が降臨した後に妙に名前が売れた主役を表舞台から消せるのなら益はある。
戦を終わらせ、最期は現われた邪神と相討ちとなって果てる悲劇の英雄。これは物語的に言っても目新しい物でもないので、一般大衆に受け入れられ易い利点もある。
デメリットは折角、纏まり掛けているガリアから王太子ルイと言うピースを外して仕舞うのは……流石に俺が消えるのは問題がある。
それも神託と言う形で。
何故ならば、ガリアがこの聖戦に大義がない。神の御心に従っていないと主張しているのだが、その主張を行って居る国の王位継承権第一位、国民の期待も高い王太子ルイが死亡するなどと言う神託を受けるのは流石に不味すぎる。これでは神の意志は聖戦を支持している……と言う論法をロマリアに作り出させる可能性が高いから。
「私は父の言葉を告げる者ですよ、王太子ルイ」
我が父、大いなる意志の御心は広く、広く、深く、深い。広大無辺にして、私などではその御心の内を完全に理解する事など出来る物ではありません。
小さく首を横に振りながらそう言った後に、優しく俺を見つめるティターニア。
教科書通りの答え……と言うべきか。少なくとも、こ
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