第7章 聖戦
第157話 聖スリーズの託宣
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途端にこの状況なら、今回の人生の聖戦の厳しさ、厄介さは前世の比ではない可能性の方が高い……と考え、苦笑にも似た笑みを浮かべる俺。
俺の記憶が確かなら、前世のゲルマニアに皇太子ヴィルヘルムなど居なかった。キュルケはゲルマニアの次代の王の妃などではなく、アルブレヒトの圧政からゲルマニアを解放する為の交渉の下調べに現われたゲルマニア貴族連合からの間者だった……はず。
それまで隠されていたガリアの王太子ルイと言う人物を見極める為に訪れた謎の留学生タバサ。そう言う役回りだった。
今回の人生と前世の記憶との相違点。これほどまで状況が違えば、これから先に訪れる未来に関しても違った物となる可能性の方が……高いと考える方が妥当か。
相変わらずのハードルートの人生に対して舌打ちをひとつ。まして、現状ではそのループを起こしている原因がさっぱり分かっていないので……。
今のままならば次の周回も覚悟しなければならないのかも知れない。
更に言うと、彼の地と言えば――
この部分に関して言うのなら、かなり微妙な記憶しか持ち得ない状態。その曖昧な記憶を無理に手繰り寄せようとする俺。
もっとも、普通の人に関して想像するのなら、死に対する強い恐怖がその部分の記憶を曖昧にしている……可能性もあると思うのだが、俺に関して言うのならその可能性は低い。少なくとも、転生の度に最期は死と言う結果で終わりを迎えているはずなので、死に関して言うのなら、前世の記憶持ちの魂はエキスパートと言うべき存在だと思う。そして、人間と言う存在はどんなに苛酷な状況に置かれたとしても、最終的にはその状況に慣れて仕舞う存在。これからやって来る死について初めての経験などではなく、転生の度に同じように死と言う経験を重ねて行くのなら、その前世の記憶をある程度持つ者が過度に死を恐れるとは思えない。
死を恐れる理由は、それが経験した事のない現象だから。大抵の場合、一人に一度しか死と言う状態が訪れる事はない。故に人は死を恐れる。
しかし、現実に俺は前世の最期の部分に関しては非常に曖昧な記憶しか持っていないので……。
以前の人生で最終決戦の地となったのは、このハルケギニアで聖地と呼ばれる場所。そこに現われるのは……。
前世では始祖ブリミル……と言い切れるかどうかは微妙。インストールされた記憶が確かならば、其処に人型の何モノかが現われて、そいつと戦ったのは間違いない。……間違いないのだが、その結果がどうなったのかは覚えてはいない。
この記憶が曖昧な理由と、其処から先の経験をアンドバリの指輪が教えてくれない事により、このシーンが俺の前世が終わったシーンだと思われるのだが……。
もっとも、前世と同じ経緯を辿ってこの場までやって来た訳ではない。おそらく、
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