第7章 聖戦
第157話 聖スリーズの託宣
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なくなるような気配を感じる事があるのだが……。
数多の貴族が集められながらも、咳ひとつ発せられる事のないヴェルサルティル宮殿の鏡の間。ここに集まる者の関心はただ、突如、神の御許より現われた御使い聖スリーズが次に発する言葉の内容。
いや、この場に集められ、異世界に追放されていた……などと言う、ハルケギニア世界の常識の外側の状態に置かれていた王太子の救出から使い魔契約の儀式。その後にガリアの守護聖人としてブリミル教に公式に認可された聖スリーズの登場。この連発する異常な事態に既に精神が飽和状態となって仕舞っている可能性も否定出来ませんか。
但し、これは俺やタバサに箔を付ける意味から為されている事。更に言うと、現在、旧いブリミル教から破門状態と為されたガリアの正統性を主張する為に行われたイベントだけに、少々クドイぐらいの派手な物の方が印象に残り易いのも事実でしょう。
「先ず、第一の託宣――」
相変わらず俺の知っているティターニアや、弓月桜とは違う雰囲気を纏った、聖スリーズとしての雰囲気を維持したままで、託宣とやらの内容を口にする聖スリーズ。
但し、それはおそらく本当の意味での託宣ではない……と思う。
表面上は騎士として最上の礼の形で彼女の言葉を受け止めながらも、心の中でのみそう考え続ける俺。
確かに、彼女……聖スリーズこと妖精女王に星読みの能力が備わっている可能性もある。ただ、星読み。アカシック・リーディングに類する能力などではなく、未来予知や幻視能力と言うのはかなり発現し難い能力で、更に言うと、発現しているかどうかを確認する事も非常に難しい能力でもある。
少なくとも、今まで付き合って来た彼女がそれらしい様子を見せた事はなかったと思う。
何故ならば、少なくとも俺が関わっている世界は未来が絶対ではないから。ほんの少しの切っ掛けさえあれば、未来は変わって仕舞う可能性のある世界だから。
つまり、未来に不幸な出来事が起きる事をアカシック・レコードにアクセスする事なく、何か別の方法で予知を行った場合、その予知を行わなかった世界から、予知を行って未来に不幸な出来事が起きる可能性がある事を知っている世界へと移動して仕舞う事となる。
そして、その結果、不幸な出来事が起こらなかった場合、本当に予知により、その出来事が回避出来たのか、それとも元々、その不幸な出来事に遭遇する可能性すら存在しなかった世界なのかが分からなくなるから。
「この一部の人間の意志により聖戦と称された戦は、三人の僭王が滅び、香々背男が天翔ける英雄により討たれる事により終結するでしょう」
もっとも、伝説上のティターニアに星読みに類する伝説を聞いた事がない上に、彼女の前世。弓月桜も星読みや幻視能力者
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