第7章 聖戦
第157話 聖スリーズの託宣
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神の御許より訪れた天の御使い。本来、ハルケギニアでは認知されていない転移魔法を使用して現われた聖スリーズこと妖精女王ティターニア。
普段の少し少女の雰囲気を残した容姿とは違い、今日の彼女はかなり大人びた雰囲気。腰まである長き黒髪が蛍光灯の光を反射。綺麗な天使の輪を作り出す。肌は東洋人の白。流石にガリア貴族の基本形……欧米人の肌の白さとは比ぶべくもないが、近寄らずとも分かるその肌理の細かさなら東洋人風の彼女の方が上。
その白い肌に、黒と言っても差し支えのない大きくて優しげな瞳が良く映え――
普段とは……緑を基調とした普段の装いとは違う、白を基調としたアール・デコ調のドレスが彼女の豊かな胸と、そして標準的な女性と比べても細い腰が形作る優美な曲線を際立たせている。もしかするとコレが今現在、彼女が纏っている雰囲気をより大人びた物へと変えている原因なのかも知れない。
そう、普段は清楚な……と表現される彼女から今、俺が感じて居るのは優美。普段から澄んだ清流のような清らかさの中に、微かな厳しさを感じさせる彼女なのだが、今日は其処に女王に相応しい品格のような物が付け足されていた。
もっとも彼女に関して言うのなら、外見的な要素によって雰囲気が一変する事も知っているし、本当の自分自身を隠す事に長けている事も知っているので……。
当然、彼女の本質を知らないこの場に集められたすべてのガリア貴族たちは、今の高貴な雰囲気を身に纏った女性を本物の聖スリーズだと認識し、彼女の一挙手一投足に釘付け状態へとなっていたのは間違いない。
「それでは託宣を伝えます」
厳かに……。まるで、本当に神の託宣を告げる巫女の如き雰囲気で、そう語り始める聖スリーズ。
先ほど、一瞬だけ垣間見せた慈母の如き微笑みを消し、浮かべる表情は……無。元々の造作が整っている彼女が表情を消せば、其処に発生するのは真冬の清き泉より湧き出す清水が如き冷たく厳しい雰囲気。
……いや、そもそも彼女の前世は一点の穢れも嫌う神道の巫女。その彼女の浮かべる表情や発する雰囲気から清らかさや烈しさを感じたとしても何も不思議ではない。
もっとも――
再び居住まいを正し、頭を垂れて神託を受ける者の姿勢を取る俺。但し、思考の部分では相変わらず少し別世界を彷徨いながら、なのだが。
そう確かに、普段の彼女は清純派の筆頭。まさに絶滅危惧種指定の大和撫子と言う感じなのだが、彼女の術……弓月桜の術の根底にはどうも陰気に偏った術と言う物が存在しているようで、そのギリギリの部分が少し気になる事がある。
故に、ふっとした瞬間、彼女から蠱惑に満ちた……其処を覗き込むと二度と戻っては来られなくなるような、危険に満ちた、しかし、何故か覗き込まずには居られ
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