暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
提督の休日・5
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

 よほどさっきの口移しが恥ずかしかったのか、真っ赤になって俯いたままの金剛。一方俺は頼んでおいたチーズケーキとカフェモカが来たので、一服しながらさっき買った戦術書を読みながら、ボンヤリと外の景色を眺めていた。

「……ん?」

 今、窓の外に見慣れた顔が通ったような気が。

「おい金剛。」

「ふぇっ?」

 まだ頭が沸騰してやがる。原因は自分だろうに。

「あれ霧島じゃねぇか?」

「テートク、霧島だって休みの日には外出位しますヨ?」

「あっそう?じゃあそれが……男連れでも?」

「what!?」

 思わず英語が出ちゃってるよ、どんだけビックリしてんだよ。

「窓の外、見てみ。」

 金剛が見るのに合わせ、俺ももう一度確認の為に外を眺める。やはりあれは霧島だ。いつもの制服ではない。モコモコのコートに短めの丈のスカートにニーハイ。いつもキッチリカッチリしていて固い印象があったんだが、今の服装はなんとも女の子っぽい。意外な一面だ。

「Oh…霧島のあんなに嬉しそうな顔、初めて見ました……」

 金剛の目にはうっすらと光る物が。まさか……泣いてんの?

「霧島が腕に抱き付いてる男は……あ!あれこの間の秋祭りの警備で見たぞ!憲兵の若いにぃちゃんだ。」

 そういえば演習の後に親しげに話をしていたが……まさかこんなに親しい仲になっていたとは。

「さぁて、私達は後を尾けますか!」

 元気よくそう言って伊勢が立ち上がった。

「……だな。青葉に売れば間宮券の足しにはなるだろう。」

 長門もケーキに満足したのか、おもむろに立ち上がった。おいお前らなぁ。

「あ、天城も気になりますっ!」

「私も面白そうだから行ってきます!」

 天城にプリンツまで……やっぱ色恋沙汰の話には弱いか。ここは霧島の直ぐ上の姉である榛名に止めてもらいたいものだが……。

「は、榛名も気になりましゅ……」

 あ、ちょっと甘噛みしてるけど、止めないのね……。まぁ良いけどさ。

「ま、程々にしておけよ?霧島は怒らせるとコワイからな。」

 バタバタと出ていった5人を見送りながら、俺達もそろそろ出ようかと立ち上がり、会計を済ませて店を出た。

「私……心配してたんですヨ。」

 車を走らせ始めた所で、口を閉ざしていた金剛がポツリ、と言い出した。

「……霧島の事か?」

「あの娘は末っ娘で、姉の私達にいつも気を使ってたんデス。いつも本音を隠していて、全てをさらけ出してはくれなかった……ケド、あの娘も全てを出せるパートナーを見つけたんですね。本当に…本当によかった……!!」

 グスグスと隣から聞こえる音を聞こえないフリをしながら、俺は車を走らせた。

「……
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ