提督の休日・4
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「いや〜、実はね?天城がほとんど服持ってないっていうからさぁ。榛名と一緒にコーディネートしてあげようと思ってね?」
コーヒーを啜りながら伊勢が言う。
「そこで、街の雑貨屋に向かう長門さんを見つけて。一緒に行く事になったんです。」
口を付けていたレモンティーをコースターに置き、榛名が続けた。
「そうしたら暇そうに歩くプリンツを見つけてな。私が誘ったのだ。」
先程まで食べていたモンブランを完食し、今度はミルクレープに手をつけ始めた長門がとどめとばかりに説明してきた。
「あ、あの……提督?天城の服装、変じゃないでしょうか…?」
真っ赤になって俯き加減に、こちらに尋ねてくる天城。
「秋っぽくて良いと思うぞ?折角可愛いんだからもっとお洒落を楽しんだ方が良いぞ。」
「そっ、そうですか!天城、頑張りますっ!」
こういう素直な娘なんだよな、天城って。そして金剛やテーブルの向かいから脛を蹴るな、地味に痛い。
「さてお二人さん。お喋りもいいけどご注文は?」
話に夢中になりすぎて、すっかり忘れてた。
「ストレートティーとチョコレートタルト、お願いしマース。」
「カフェモカとチーズケーキ。豆はお任せで。」
マスターはペコリと頭を下げ、厨房の方に引っ込んでいった。昔はコーヒー頼むと烈火のごとく怒られたモンだかな。『あんな泥水、飲む価値ありまセーン!』とか言ってな。今は漸く理解力を持ってくれたのか、それとも諦めの境地に到ったのか、どっちか解らんが文句は言われなくなった。まぁ、それだけ長い時間を一緒に過ごしてきた、って事か。
「お待たせしました、チョコレートタルトと紅茶です。」
金剛の注文が先に来た。気にせず食べろ、と勧めてやる。チョコレートタルトにフォークを入れる。チョコレート生地はフォークを押し返す事なくスッと受け入れ、タルト生地は逆にフォークを押し返さんばかりに堅め。しかしザクッ、という音を立ててタルト生地はフォークに両断。それを口に運ぶ金剛。入った瞬間、
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
声にならない悲鳴をあげた。そのくらいここのケーキは美味い。甘すぎず、しかし苦すぎず、そしてしつこくない。そのバランスが絶妙で、1つ1つの仕事の丁寧さを窺わせる。そしてそれがドリンクにマッチするんだよな。どれにでも。
「ん〜っso happyデース!」
ホントに美味そうに喰うなぁ、コイツ。俺も食いたくなってきた。
「おい金剛。」
「ンー?なんですカー?」
「一口くれ。」
金剛は聞くや否やにま〜っと笑い、
「仕方ないネー……。はい、あ〜ん♪」
「あ〜……」
しかし、金剛のフォークは突如踵を返し、金剛の口に入った
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ