提督の休日・2
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「オマタセー!グリーンカレーとパッタイダヨー。」
オバチャンが料理を運んできた。グリーンカレー(正確にはゲーンキャオワーンというらしい)にタイ米、それとタイ風焼きそばのパッタイ。
ゲーン・キャオ・ワーンってのは、タイ語でそれぞれ、汁物、緑、甘いという単語を示しているらしい。多数の香辛料やハーブを磨り潰したペーストを炒め、そこにココナッツミルクやナンプラー、砂糖と具材となる野菜(主に豆茄子やタイ茄子、赤ピーマン等)、肉、海老、魚等を煮込んで作る。今日はチキンに茄子、赤ピーマンのカレーだ。
「Oh…なんだか比叡の作るカレーのような色デスネー……。」
食欲失せるような事を言うなよ、ったく。これが緑なのはコリアンダー(別名パクチー・香菜)や青唐辛子を始めとする緑色のハーブを使うからだ。比叡のカレーのように意味もわからず緑色のカレーとはワケが違う。
「ま、味は保証するよ。さぁ食おうぜ。」
「「いただきます。」」
タイ米の器に、サラサラとしたスープ状のルーをスプーンでかけてやり、口へ運ぶ。ピリッとした辛味が走った後、ココナッツミルクの円やかさが後から追ってくる。インドが源流の欧風カレーや日本のカレーと違い、瞬間的な辛味のインパクトはグリーンカレーの方が上だな。けど、持続的なヒリヒリという辛さはない。一瞬でスッと消える。
「久しぶりだけどやっぱ美味いなここのは。」
「け、結構hotですネー……。」
いいよ金剛、無理してそんな汗垂らしながら食べなくても。
「こっちのパッタイなら辛くないから、こっち食えよ。」
「そうするヨー……。」
ハヒハヒ言いながらパッタイを啜っている。米粉を使った太目の麺を使い、卵に干しエビ、鶏肉、もやしや砕いたピーナッツ等を具材として、タマリンドというフルーツの果汁やナンプラーで味付けした焼きそばだ。辛くはない。
「うぅ〜!酸っぱいネー!」
ライムを搾ってあるから酸っぱいけど。
「も〜!酷いですよテートク〜!」
「悪い悪い、まさか辛いのも酸っぱいのもあんなに苦手とはなぁ。」
む〜!と頬を膨らませたまま拗ねている金剛。
「アララ〜、テイトク酷い男ダネ〜。」
オバチャンがドリンクとデザートを持ってきてくれたらしい。
「ホラ、これでも食って機嫌治せよ。」
差し出したのはサンカヤーというココナッツミルクを用いたカスタードプリンと、タピオカ入りのミルクティー。ブスッとしたまま、プリンを頬張り、ミルクティーを啜る金剛。
「どうする?こんな酷い男は放り出して帰るか?」
ニヤリと笑いながら金剛に尋ねてみる。何となく答えは解ってるけどな。
「うぅ〜…ハァ。こんな酷い男に惚れた私の負けネー。」
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