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SAO−銀ノ月−
第百二十話
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ん!? あなた一瞬だけ、脳波がレム睡眠状態に――』

「セブン。幽霊に、会った」

 慌てた様子のセブンをせき止めて、静かに、それでも重く、ただそう呟いた。それはまるで、セブンにではなく、自らに『彼女』はもう『幽霊』なのだと言い聞かせるように。

『……そう。その、大丈夫?』

「大丈夫。モニター、よろしく頼む」

 セブンはこちらの心拍数などの健康状態のチェックも担当しているため、セブンの方に問題がなければ、俺の肉体面には何の問題点もないのだろう。精神面の問題で少し吐きそうになりながらも、俺はゆっくりと『彼女』が消えていった方向へ歩いていく。

「クロービス……楽しんでね、ってこういうことか……?」

『クロービス?』

「ああ。さっき、そう名乗ったNPCに、楽しんでねって言われたんだ」

 自問自答のように呟いていた言葉だったが、どうやらセブンとまだ通話状態で繋がっていたらしい。大した理由もなく、セブンに先程会った狐面のNPCのことを話した。わざわざこちらの前に現れて、自己紹介に『楽しんでね』というメッセージとともに姿を消した彼のことを。

『ショウキくん……』

 するとセブンから息を呑むような雰囲気が伝わってきて、どこか抑揚のない声で言葉を続けてきた。

『……そのクエストには、NPCなんて一人も出て来ないわ』

 ――どこか遠くから、まるで在りし日の『彼女』の笑い声のように、踊るような祭り囃子の音色が聞こえてきた。


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