第百二十話
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るでこちらに回避以外の行動をさせないつもりのようだった。
「とはいえ、避けてばっかりもいられない……」
大地を駆けて上方から放たれる糸を避けながら、日本刀《銀ノ月》の柄を握り締めそう呟くと。そこで走るのを止めて、わざと蜘蛛の糸に晒され――斬り払う。鞘から抜き放たれた白銀の刃が、発射された蜘蛛の糸を斬り裂き、二つに別れた糸の弾丸は俺を避けるように大地に落下した。
しかし蜘蛛も再び次弾を放とうと糸を装填するが、それと同時にこちらも、抜き放った日本刀《銀ノ月》を蜘蛛に向けて構えた。刀身に属性を付与するアタッチメントを装着し、そのまま蜘蛛に向け柄に装着された引き金を引く。
すると蜘蛛による糸の弾丸と同時に、こちらの日本刀《銀ノ月》の刀身もまた、弾丸のように蜘蛛に飛来していく。弾丸と弾丸が空中で交差した瞬間、発射される前に装着された刀身に属性を与えるアタッチメントにより、刀身が炎属性――すなわち業火に包まれた。
業火に包まれた刀身の弾丸は容易く蜘蛛の糸を焼き尽くし、勢いをまるで減じることはなく蜘蛛に飛来する。そして次弾を発射せんと口を開いていた、蜘蛛の口内から体内を侵略し、蜘蛛の内部を切り刻みながら業火で燃やしていく。
「せやっ!」
内部から破壊されていくダメージに蜘蛛は耐えられず、天井に張り付いていた蜘蛛は地上に落下してきた。それに巻き込まれないように注意しながら、落ちてきた蜘蛛の頭部と胴体の結合部に、新たに生成された日本刀《銀ノ月》を突き立てた。そして頭部が胴体と分離すると同時に、体内を破壊していた先程発射した刀身が貫通し、胴体が燃え上がるとともにポリゴン片と化していく。
ポリゴン片へと変わっていくのは、やっぱりどの世界でも変わらないんだな――と思案しながら、日本刀《銀ノ月》を血を払うように振り払い、柄にしまい込んで蜘蛛であったポリゴン片を一瞥する。もはや復活するような様子もないことを確認し、とりあえず一息ついて次に進んでいく。正面と背後、二つの道があるが、とりあえずは蜘蛛が来た方向に進むことにした。
「…………」
蜘蛛の巣に着いた、などというオチは勘弁だが――その予感は的中したかもしれない。ほの暗い地下の道の向こうから、何かがこちらに向けて走ってくる気配がした。用心して待ち受けるものの、すぐにその用心は解かれることになった。
「テッチ?」
「あ……ああ。ショウキさん」
暗がりから姿を現したのは、スリーピング・ナイツのメンバーの一人、テッチ。パーティーメンバーと合流するという、ひとまずの目的は一歩達成したと思ったが、テッチの様子は明らかにおかしかった。いつもの泰然自若とした雰囲気はどこにもない、何かを大切なものを探しているような、そんな慌てぶりだった。
「どうした?
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