第百二十話
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型ボス《大蛇》についての解説が飛ぶ。わざわざそんな手記が神社に置いてあるということは、つまり――
「この神社にいる《大蛇》を討伐ってことかな!」
「この古文書には、《大蛇》を静めるって書いてあるけど」
「……先に言ってよ!」
ユウキの言い方だと、静めるというより、沈める、の方が正しいか。要するに、大蛇を静めることの出来るアイテムを、神社の中に探しに行く――というところか。もちろん、大蛇を沈めに行くという、ユウキ系クエストの可能性がなくはないが。
「大蛇を静めることが出来るのは、この神社に眠る楽器のみ、だって」
「それはともかくよ。さっさと行こうぜ、っと」
どうやら静める系のクエストだったらしい。つまり、神社内にある楽器を入手するというクエストらしく、大体の情報交換が終わり、座り込んでいたジュンが飽きたように立ち上がった。そのまま手をぶらぶらと振りながら、ポッカリと入口が開いた神社の中に入っていくと――その姿が、消え失せた。
「ジュン!?」
すぐ隣にいたキリトも反応することが出来ずに、ノリの呼びかけにもジュンから答えが返ってくることはない。パーティー覧にジュンの名前は健在だが、ダンジョン内にいる表示となっていた。一応は試してはみたが、やはりダンジョン内ということか、メールも届くことはなかった。
「助けに行かなきゃ!」
つまりあの神社の入口は、どこかのダンジョン内に転移させる装置。危険がないと判断したユウキは、素早く神社の中に飛び込んでいく。そしてジュンと同じように、どこかに転移していったようだ。
「あたしらも行くよ!」
まるで奈落の底のように見える闇に、残ったメンバーも少し後込みしてしまったが、ノリの号令で神社内に突入していく。久々に感じる転移の感覚が身体全体を包み込んでいき、気がつくとしっかりと大地を踏みしめていた。
「みんな……?」
久々に味わった転移の感覚に顔を覆いながら、何とか健常な視界を取り戻した。明かりはついているものの薄暗い地下のようで、他のパーティーメンバーはどこにもいない。やはり罠だったかと思いながら、腰に差した日本刀《銀ノ月》を構えながら、周りをグルリと一回転して見渡した。
「誰かいないか!」
大声で呼びかけられた質問に対する返答は、闇の中に吸い込まれて返ってこない。どうやら転移で全員が別々の場所に分断されてしまったらしく、まずは楽器とやらの入手よりも、合流こそが至上命題になりそうだ――と、考えていたところで。
「いるよ?」
背後から聞こえてきた、少年の声。
「――――ッ!?」
パーティーメンバー、ということはありえない。何故なら俺は、先程にグルリと回って周囲を確認した――にもかかわらず、その声は背
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