第百二十話
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すぎていたユウキが飛び退いた。もちろん現実世界にいるセブンが、こちらのどこにいるわけもなく、ユウキは向けられる視線からおずおずと俺の背中に隠れていった。
『どうしたの? 大丈夫?』
「……大丈夫! セブンこそどうしたの?」
半ばヤケクソ気味に大丈夫だと返すユウキに、セブンの声色にどこか苦笑いをしているかのような感情が浮かぶ。そのまま空間にセブンの声が伝わるのを、俺たちは黙って聞いていた。
『……みんなのおかげでお姉ちゃんに会えたから。調査って体裁だけど、今回のクエストが、みんなにその恩返し出来るような内容なら、ってちょっと思ってるわ』
「セブン……」
『それだけ! よろしくね!』
それを最後に、セブンの声は聞こえなくなっていた。もちろん俺たちやクエストのデータ収集は止めていないだろうが、もう現実世界から話しかけてくる気はなさそうだ。そんなセブンに対して、メンバーは顔を見合わせてお互いに苦笑していると、石で出来た階段を登りきった。
「広いな……」
荘厳な鳥居を潜ると、そこには巨大な社が鎮座していた。キリトが呟いた通りにその敷地内は広く、敷地を探索するだけでも骨が折れそうだ。ひとまずは神社に来たということで、まずはお賽銭とともに神への祈りを済ませた。
「あ、発生しましたね」
「パーティーにもなってるよな?」
とはいえただ神に祈りを捧げた訳ではなく、その祈りを捧げる動作は《幽霊囃子》クエスト開始の合図だった。それだけはセブンから聞いていたが、これだけではクエストの目的も条件も何もかも分からない。神社の中にヒントが隠されている形式だろうと当たりをつけて、誰からともなく別れての散策を提案する。
「2、3人に別れて手当たり次第に探索、でしょうか。キリトさん」
「ああ。俺もそれがいいと思う」
「それじゃチーム分けは……そこの二人はそれでいいわね?」
「え?」
リーダーが話に入っていないにもかかわらず、手早く決まっていく話し合いを見学していると、ノリがこちらを見てニヤニヤと笑う。さっきセブンの声に驚いて飛び退いてから、ずっと俺のコートの裾を掴んだままの、ユウキのことを言っているのだろう。
「え……あ……」
「ほらシウネー、いつまで怖がって黙ってんの。行くわよ!」
ようやくユウキは自分の行動に気づいたらしく、顔を赤らめながらコートの裾から手を離した。そのまま手早くチーム分けが決まり、スリーピング・ナイツ+2名は、バラバラに境内を散策し始めていく。
「その、さっきはごめんね。ショウキ……」
「謝ることじゃないだろ、別に」
俺とユウキのペアは中庭の担当となり、木々と社で囲まれた場所を、砂利道を踏み抜きながら探索していく。社に吊され
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