626部分:第九十話 封印の前でその三
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第九十話 封印の前でその三
不意に四人は動いた。そうしてであった。
「見よ!」
「これがだ」
「封印が解かれる時だ!」
「今こそ!」
四人はそれぞれ一本の柱をその拳で殴った。そうしたのである。
「拳を撃っただと!?」
「まさか」
「そうだ、そのまさかだ」
柱を打ったファウストが笑いながら答えてきた。
「この拳から我等の小宇宙を送る」
「そしてだ」
今度はエノクであった。
「さらに」
「見るのだ」
イシュティスも言う。
「我等の拳を」
「血か」
「その血でだな」
「如何にも」
最後にメンデスが言ってきた。四人の狂闘士達はそれぞれの柱を打ったままでその動きを止めていた。そしてその柱の中心にある。
「よくぞやってくれた」
「何だと!?」
「エリスが」
「ここに出て来ただと!?」
「まさか」
「そのまさかよ」
エリスが姿を現わしてきたのだ。そうしてそのうえで祭壇の中央から二人を見下ろしてそのうえで悠然として言ってきたのである。
「四闘神のこの世界への再度の降臨には私の力が必要なのだ」
「何故だ、何故ここに」
「私の異次元空間に入って来るというのか」
「私は神だ」
サガに対して今度は傲然と言ってきた。
「その神ならば人の技なぞ」
「造作もなく破るというのか」
「そうだ」
まさにそうだというのである。
「貴様等程度の技なぞはな」
「神は人の技なぞか」
それを確認してであった。サガの顔が鋭くなった。しかし今はエリスの方が言ってきているのであった。やはり神として不遜な態度である。
「何ともないのか」
「左様。そしてじゃ」
「今度は何だというのだ?」
アイオロスが彼女に問うた。
「それではだ」
「今よりあの者達を呼び戻す」
そうするというのである。
「それを見ているがいい」
「くっ、させん!」
「それはだ!」
二人はすぐにその光の拳をエリスに向けて放った。当然それで倒さんというのだ。しかしであった。それは全く意味のない攻撃だった。
その拳が全て弾き返される。エリスの前に何か壁があるかの様に。全く効かなかった。
「障壁か!?」
「それなのか」
「言った筈だ。私は神だ」
またしてもその不遜な声で言ってきたのであった。
「御前達の攻撃なぞ当たる筈もなかろう」
「その小宇宙で防いでいるというのか」
「左様」
そうアイオロスに述べる。
「その通りよ」
「小宇宙での障壁か」
「そういったものまで出せるというのか」
「神は人には傷付けられぬ」
それを確信している言葉だった。
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