624部分:第九十話 封印の前でその一
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第九十話 封印の前でその一
封印の前で
サガとアイオロスは長い廊下を駆けていた。二人の前にはまだ敵はいなかった。
「いないな」
「うむ」
「誰もだ」
アイオロスがこうサガに告げてきていた。
「誰も出て来ないとは」
「意外だな」
「これはだ」
ここでさらに言うアイオロスだった。
「インプ達は出さずにだ」
「八大公と、そして」
「四騎士だけだな」
「ここに来たのはか」
「それだけだな」
このことを二人で確認した。そのうえでさらに先に進む。
そうして先に進むとであった。やがて彼等は巨大な裁断の前に出て来た。それは四つの柱を中心にして置かれており何か峻厳な趣きを醸し出していた。
白、いや赤だった。赤いその大理石の祭壇を前にしてだ。二人は立ち止まった。そうしてそのうえで、であった。周りを見回すのであった。
「さて、それではだ」
「出て来るか」
「少なくともいる」
「そうだな」
二人が周りを見回しながら言うとであった。祭壇の前に彼等が出て来た。
四騎士だった。その彼等が出て来たのである。
そうしてである。そのうえでサガとアイオロスに対して言ってきたのである。
「来たな」
「ジェミニ、そしてサジタリアスか」
「他の者達はどうやら」
「足止めを受けているな」
既にそのことを見抜いていた。彼等も決して愚かではなかった。
「八大公の方々にだ」
「そうだな」
「その通りだ」
サガが彼等のその問いに答えてきた。
「だが。あの者達を侮るな」
「侮るなか」
「そう言うのだな」
「そうだ。あの者達が敗れることはない」
自分達を先に行かせたその彼等への言葉だ。
「それはわかっておくことだ」
「八大公の方々も侮ってもらっては困る」
「こちらもそれは言っておく」
すると四騎士達も言葉を返してきた。
「よくわかっておくことだ」
「それはだ」
「実力は完全に伯仲している」
今度言ってきたのはアイオロスだった。
「そういうことだな」
「如何にも」
「その通りだ」
まさにそうだと返す四騎士の面々だった。彼等もその心では負けてはいない。
そうしてである。さらに言うのであった。
「ではだ」
「いいな」
「それでだ」
「どうだというのだ?」
四騎士達が動くと見てだ。サガもアイオロスも身構えた。戦いを念頭に置いていた。
しかしである。ここで四人は前には出なかった。何と祭壇の上に跳んだのである。
「むっ!?これは」
「どういうことだ!?」
「戦わないというのか」
二人はいぶかしむ顔で彼等に問うた。しかしであった。
その彼等はだ。静かに言ってきたのである。その祭壇の上からだ。
「先に行ったが我等の目的
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