暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二十二話 蠢動
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
えているそうです。現在ルフェーブル中将がアラルコン少将を連れ戻すべく、自ら艦隊を動かしました」
「!」

「馬鹿な、何を考えている! この状況で艦隊を動かすなど却って挑発行為と受け取られるぞ!」
ネグロポンティがボロディン本部長に怒声を浴びせた。同感だ、一体軍は何を考えている。

「紛争を早期に収束させるためです」
「収束だと」
「そうです、国防委員長。アラルコン少将は嘘を吐いているのかもしれません。しかし少将の艦隊は二千隻、帝国軍は三千隻。この状況ではアラルコン少将の言う通り撤退できる状況には無い可能性もあります。この際本隊にアラルコン少将を救援させる事で帝国軍から撤収させるように持って行くべきでしょう」

「しかし……」
「このまま放置すれば紛争は長引きかねません。その方が危険ですし犠牲者が増えます。帝国には紛争を早期解決するために艦隊を動かしたと伝えればいいでしょう」

トリューニヒトを見ると何度か頷いている。どうやら答えは決まったようだ。
「良いだろう。レムシャイド伯にはそう伝えよう。ネグロポンティ君、アラルコン少将の処分は厳しく頼むよ、分かったね」

ネグロポンティとボロディンは帰ったが私は残るようにトリューニヒトに言われた。レムシャイド伯との会談に付き合えという事だったが、レムシャイド伯との会談は特に問題なく終了した。帝国側も今は国内問題を優先したいようだ。紛争は望んでいないのだろう。その際、トリューニヒトは改めて捕虜交換の早期実施の要求をレムシャイド伯に伝えた。

「レベロ、今回の紛争だがアラルコン少将の独断だと思うか?」
「どういうことだ、トリューニヒト」
「彼の後ろに誰か居るんじゃないかということさ」

トリューニヒトは深刻な表情をしている。冗談ではないようだ。
「後ろか……。例えばルビンスキーか」
「それもあるが、主戦派という事は無いか。アラルコン少将は軍至上主義者、コチコチの主戦派だ」

「現状の帝国との協調路線に不満を持ってということか」
「そうだ、だとすると他にも協力者が居るのかもしれない」
「軍内部に陰謀が生まれている……。君はそれを心配しているんだな」
「心配じゃない、恐れている。同盟は帝国とは違う、内乱の余裕など無い」

確かにトリューニヒトの言う通りだ。同盟の現状に主戦派が大人しくしているはずが無い。これまでにも何度も帝国領への侵攻を主張してきた。だとすれば既成事実を作ろうとした、その尖兵がアラルコン少将……。

「彼を、その背後を調べる必要があるな」
私の言葉にトリューニヒトが頷いた。
「何故、ボロディンやネグロポンティの居る場で言わなかった」
「ボロディンはともかくネグロポンティは駄目だ」

「駄目? 彼は君の部下だろう」
「彼を信じていない
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ