『温度』
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いつも一緒なんて言い合う恋人同士を見ては引いていた。
うっとうしいだけだと思ってた。
縛られて監視されてるだけだと。
どうにもならない憎しみが襲う深夜の街中。
誰かの体温が欲しかった。
心なんてものは要らないから。
今なら選ぶことは可能だ。
寄ってくる虫は追い払うべきだが今だけ受け入れよう。
ただ、温もりさえ感じさせない程うるさい輩は勘弁。
弱さも醜さも曝け出したい。
とことんカッコ悪い姿で温めて欲しい。
こんなワガママ聞いてくれる優しい人は居ないよね普通。
追い払う虫が居なくなった頃、1人諦めうなだれていた。
そんな時に現れたアナタ。
ずっと見ていたと言う。
ヤケクソなくせに、ついて行かないのが不思議で、理由を聞きに来たみたい。
やだやだ高みの見物。
ヤケクソで本音をブチ撒けた。
アナタは何も言わず優しく手を握ってきた。
そしてさっきとは違う柔らかい笑顔で言った。
任せてくださいと。
儚き温もり。
切なさに堕ちた時間。
深く沈んだ漆黒の空間。
躰だけが溺れてった永遠の温もり。
何かを失った永遠の刹那。
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