暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
提督の採用テスト・問2-3
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 早霜は何をそんなに上がっているのか、ガチガチに緊張して固くなっている。

「早霜、あまり緊張するな。肩の力を抜け。」

「は、はいぃ……。」

 那智にリラックスしろと言われてはいるが、先程までの妖艶でミステリアスな雰囲気はどこへやら、その怯えたような表情は、まるで雨に打たれて衰弱したずぶ濡れの子犬のようだ。ぶっちゃけた話、可愛い。

「で、では何かリクエストは有りますか?」

 少しは平静を取り戻したか、那智と木曾に尋ねる早霜。俺は敢えて第三者の視点から観察させて貰おう。

「そうだな。ベースの酒はウィスキーがいいな。出来れば達磨を頼む。」

 那智はホントにウィスキー好きだな。それもほとんど達磨。前に聞いたら、

『し、仕方なかろう!私は達磨以外のウィスキーに馴染みが無いんだ。古臭い女で悪かったなっ。』

 と、拗ねられてしまった。誰も悪いとは言ってないんだがなぁ。

「俺は何でもいいんだが……そうだな、スッキリした飲み口の方が嬉しいかな。」

「わ、解りました。では……。」

 早霜はそう答えて、先程とはうって変わってぎこちない手つきで準備を始めた。

「しかし、世界と比べて日本のウィスキーというのはどうなんだ?美味いのか?」

 ウィスキーの瓶を眺めながら、木曾が頭に浮かんだ疑問を口に出した。

「美味いんじゃないか?何せ日本のウィスキーは『世界5大ウィスキー』に数えられる位だからな。」

 日本のウィスキー、ジャパニーズウィスキーと大別されるらしいが、スコッチ、アイリッシュ、バーボン、カナディアンと並ぶ5大ウィスキーに数えられるらしい。実際、ウィスキーの世界的な品評会なんかでも世界一を獲ったりしてるしな。

「ほぅ、そうなのか。ならわざわざ他国のウィスキーは飲まなくてもいい、という事だな!」

「いや、その理屈はおかしい。」

 なんてアホな会話を交わしている間に、早霜の作業はかなり進んでいる。

 ミキシンググラスに氷を入れて、そこに達磨を36ml。更にドライベルモットを12ml、ポートワインを12ml、オレンジビターズを1dash。これをゆっくりとステアしていく。

「そういえば提督、ポートワインって美味しいのか?」

「は?何だよ藪から棒に。」

「いや、この間足柄が合コン帰りに買ってきていてな。羽黒が貰って飲んでいたのだ。それもお代わりして。」

 羽黒の話は聞いていた。ウチには珍しい下戸の艦娘。飲めなくは無いのだがアルコールに弱いらしくあまり飲めないらしい。

「フム。飲みやすいかは知れんが、ポートワインは普通のワインよりも度数が高いハズだ。」

 ポートワインとは、ポルトガル北部特産のワインで、別名酒精強化ワイン。ワインの発酵途中に
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ