提督の採用テスト・問2-3
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葡萄から作られたグレープ・スピリッツと呼ばれるアルコールを添加し、発酵を止めて葡萄の甘味を残すように作られる物だ。必然的に甘いが度数の高いワインに仕上がる。
「そのせいか。羽黒が淫らになったのは。」
おいおい、穏やかじゃねぇ会話が出たぞ。
「羽黒が酔っ払うと近くにいる人に絡み付いて甘えてくるんだ。お陰で一人で飲みに行かせるワケにもいかん。」
「あぁ、よく見張っといてくれ。」
なんて会話を交わしている内に、目の前にカクテルグラスが置かれている。
「『アイアン・レディー』です。イギリスの女性首相・サッチャーをイメージして作られた一杯です。」
では、いただきましょう。
「うん、スッキリした口当たりだ。」
「ワインとウィスキーの組み合わせ……アリだな、これは。」
確かに美味い(悔しいが)。ワインの甘い口当たりに母親らしき母性を感じつつ、ウィスキーのガツンとくる風味に意思の強さを感じる。確かに『鉄の女』と呼ばれたサッチャーのイメージピッタリだ。
「さて、お次は何を?」
一杯作って緊張がほぐれたか、早霜は此方に尋ねてくる。
「そうだな、では春先の洋上はまだ寒い。暖かい一杯を貰えるか?」
憧れの那智からのリクエスト。早霜はどう答える?
「…提督、コーヒーを淹れる機材は有りますか?」
ホットコーヒーと聞いた瞬間、俺はピンと来た。あの一杯を出すつもりか。
「あぁ、あるぞ。コーヒー淹れるのは俺がやろう。」
コーヒーとウィスキー。よく紅茶とウィスキーの組み合わせは聞くが、コーヒーはあまり聞いたことが無いだろう。
「あ、コーヒーはブラック以外で頼むぜ?」
おやま、木曾から意外な注文。ブラック飲めないのか。
「天龍は意地張って飲めないクセに、ブラック飲んで大人ぶってるからな。俺は見栄なんて張らずに自然体でいたいのさ。」
いい心がけだ。どこぞの見栄っ張りビッグセブンに爪の垢でも煎じて飲ませてやろうか。そんな事を考えながら、ゆっくりと豆を入れたフィルターに湯を注いでやる。一方早霜はアイリッシュ・グラスを準備し、それぞれにカルーアを15mlずつ注ぐ。そこにホットコーヒーを適量注ぎ入れ、更にアイリッシュ・ウィスキーを倍の30ml注ぐ。コーヒーの後に注ぐのはウィスキーの香りを飛ばさない為だな。ウィスキーを入れたら軽くステア。そこに適量の砂糖を加えてホイップした生クリームをフロートしたら出来上がりだ。
「『アイリッシュ・コーヒー・ア・ラ・カルーア』です。ブラックコーヒーが苦手との事でしたので、少し甘めに仕上げてみました。」
本来は泡立てていないクリームを浮かべるのだが、今日は少しだけアレンジを加えた。カルーアを加えない『アイ
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