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提督はBarにいる。
提督の採用テスト・問2
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さらにアブサンとビターズで爽やかな苦味と多種類のハーブの香りをプラス。

「早霜。」

「何でしょう?」

「この一杯に合わせるとしたら、どんなツマミ出す?」

 ウチみたいなBarならよくある事だ。『この酒に合うツマミを』。客の無茶ぶりとも言えるこの状況で、早霜は果たして何を選ぶのか。

「そうですね、ハーブの香りを引き立てる白身魚……ヒラメや鯛のお刺身やマリネ、少しボリュームをお望みでしたらフィッシュ&チップス等も如何でしょう。」

「お、いいなそれ。冷蔵庫の中に作り置きのマリネがあるからそれを出してくれ。」

「かしこまりました。」

 早霜はタッパーに入ったマリネを、手早く皿に盛り付ける。うむ、中々いい手付き。普段から姉の夕雲などの料理の手伝いをしてるんだろうな。



 手前味噌ながら美味いなコレ。いつも作る時には味見するが、そん時ゃ傍らに酒がないからなぁ。酒と合うように作ってるから合うこと合うこと。自作のマリネを自画自賛しながらつつき、次の一杯を待つ。さて、お次は〜?……お、今度はシェイカーの準備してるな。氷を入れて……そこにスコッチか。

「このカクテルは、クセが強くない方が美味しく仕上がるので。」

 何この娘、読心術でも心得てんの?たしかにスコッチは他のウィスキーに比べてクセが少ない。ウィスキーの独特な部分を際立たせたくない時にはうってつけだ。そこにドライ・シェリーか。量はどちらも20mlずつ。更にレモンジュースを10mlに、グレナデン・シロップを10mlか。このグレナデンシロップ、地域によって素材が違う。日本やフランスではザクロを使った物が主流だが、英語圏では複数のベリーを使って作ったどちらも赤が色鮮やかなシロップだ。

 それら全てが入った後、シェイカーの蓋を閉じて脇を締め、リズムよくシェイカーを振るう。その姿も中々様になっていて、本人のミステリアスな雰囲気も相俟ってか、格好良くさえ見えてくる。しばらくシェイカーを振っていた早霜の手が止まる。カクテルグラスを取り出し、シェイカーの中身を注ぐ。ぐれないシロップの赤とスコッチの琥珀色が混じりあって紅が鮮やかな一杯に仕上がっている。 

「『アーティスツ・スペシャル』です。提督もあまり召し上がった事が無いのでは、と思い作ってみました。」

 確かに、初めて見る一杯だ。未知の味に出会うってのは、恐くもあるがそれ以上に期待に胸が膨らむ。

「んじゃ早速……」

 グラスを傾け、口の中に含む。瞬間、感じたのは鼻に抜ける若草のような爽やかな香り。
 ドライシェリーの香りはその爽やかさゆえ、時として若草の香りに例えられる。しかし通常のワインよりもアルコール度数が高く、人によっては飲み辛く感じる。ゆっくりと、舌の上で転がして味を確かめる
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