617部分:第八十九話 地下神殿その二
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第八十九話 地下神殿その二
「このアーレス様の神殿においてだ」
「その言葉お受けしました」
こう返しはした。
「ですが」
「ですが?」
「私はここでは倒れません」
その手にある薔薇を見ながらである。その紅の薔薇をである。
「決してです」
「では倒れるのは私だというのか」
「そう思われるのならそうなのでしょう」
あえて悠然として言葉を返してみせた。
「貴方がそう思われるのなら」
「そうか。それならだ」
ミシェイルはアフロディーテに対して悠然と構えを取りながら述べてきた。それと共にその全身にも凄まじい凍気を帯びさせてきたのである。
そうしてそれは。彼だけではなかった。
他の狂闘士達もだ。それぞれの相手を前にしていた。
「タウラス、ここで会ったからには」
「そうだな。決着をつける」
アルデバランとドーマも対峙していた。二人共その全身に小宇宙を漂わせている。
「どちらが上か」
「バビロンでの続きといこう」
「そういうことだな」
「それではだ」
彼等も闘いに入ろうとしている。八人の黄金聖闘士達がそれぞれの相手と対峙している。その激しい小宇宙が激突しようとしている。
その小宇宙と小宇宙の激突を感じてだ。サガとアイオロスは後ろに感じながら述べるのであった。
「はじまったな」
「そうだな」
二人はその廊下を進みながら行く。駆けながら言葉を交えさせる。
「ああは言っていたが」
「どうなるかだな」
「問題はそれだ」
アイオロスは彼等を気遣う声を出していた。
「問題はないと思うが」
「気にすることはない」
サガはここであえて強い言葉を言った。しかしそれをすぐにであった。
「いや」
「いや?」
「気にしてはならない」
こう言い換えるサガだった。
「ならないのだ、それは」
「気にしてはならないのか」
「彼等は彼等の戦いをしている」
だからだというのだ。
「だからだ。今はその意を汲もう」
「そういうことか」
「わかるな、それは」
「サガ、しかしだ」
アイオロスは怪訝な顔になっていた。そのうえであえて表情を消した感じになっているサガに対して言い返すのである。そうしたのである。
「気遣わないことはだ」
「その気持ちはわかる」
「では何故」
「あの者達を信じるだ」
これが今のサガの考えであった。
「彼等はやる」
「勝つというのか」
「そうだ、何があろうともだ」
前を駆けながらの言葉が続く。
「最後には必ず勝つ。絶対にだ」
「そうか、そうだな」
その言葉を聞いてであった。アイオロスも遂に頷いたのであった。
「それならばだな」
「行こう」
また言うサガだった。
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