第19話 復讐の途上で
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「大したもの無いけど、ハイお茶」
「う、うん。ありがとう・・・」
モロの家の彼の自室でお茶を受け取ったヒカルは非常に居心地が悪かった。
目覚めた直後に師岡君が居た事や、彼に何か聞かれるのではないかと言うモノだ。
しかし――――。
「なにも聞かないよ」
「え?」
「聞かれたくない事があるんでしょ?だから言いたくなってからでいいよ」
「う、うん・・・」
気遣われるヒカルだが、それはそれで問題があった。
「っ・・・・・・」
体から溢れそうになる憤怒と言う名の焔を必死に抑え込む。
静かにしていると、自分達を襲撃した赤い外套の暗殺者への怒りを抑えられなくなる。
ヒカルが憶えているのは自分を庇って代わりに火傷を負ったアステリオスに、燃え盛る船上から辛くも脱出した直後に襲撃に遭い、足止めにアヴェンジャーが残ったぐらいだ。
(許せない、ユルセナイ・・・・・・けどっ!師岡君の家を焼き払う訳にはいかない・・・)
(・・・・・・・・・・・・)
モロに気付かれないようにしながら自分の中の憤怒と葛藤をしているヒカルを、アステリオスは霊体化のまま見守りながら此処までの事を思い出す。
アステリオスはヒカルを庇い逃げた後、気絶したヒカルが溺れないように自分の頭の上に置き、足が付く川底の浅い川を下った。
そうして野生の直感で人気のなさそうな橋の下に寝かしてから間もないころに、ヒカルを優しく気遣っている少年が保護したと言う事だ。
最初は、もしおかしな真似をしようと言う動きが有れば、即座に首をひねり千切ってやろうと考えていたアステリオスだったが、それも杞憂に終わった。
後は再びあヴぇんじゃーと合流できれば、またヒカルの復讐が始まられる。
しかし赤い外套の暗殺者は、本人たちに気付かれずに外からの既に潜んでいた。
「・・・・・・・・・・・・」
だが奇妙なモノである。
本人曰く――――『今回も今までと同じ汚れ仕事』の筈だ。
であるならば、躊躇う必要など無く、家一件丸ごと爆破して再び獲物を弱めて行けばいいのだ。
しかし行動を起こさない代わりに、自嘲と取れる言葉が聞こえて来る。
「僕もマスターの事は言えないどころか、それ以上に温いな」
暗殺者が師岡宅に対して監視で留めているのは、狩りの工程には不必要な私情である。
別に家の住人を巻き込みたくないと言う気持ちでは無く、彼の友人にはこの現代において武神と呼ばれる少女がいる事は調べが付いていた。
だがその武神の報復を恐れているワケでもない。
その武神と呼ばれる少女には多くの友人がいるが、その内の1人である同い年の赤銅色の髪をした少年に対する複雑な思いである。
この暗殺者は生
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