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リリなのinボクらの太陽サーガ
ピースウォーカー・後
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部を使って、清潔さを維持しながら自分の右眼を抜き取った。そしてはやての右目に、強力な治癒の光を発して自分の右眼を植え込んだ。マキナの琥珀色の眼が、はやてに光を取り戻させるために……。

「これで……私は死なない。八神の一部として残るから……八神が生き続ける限り、この世から私の存在は消えない……」

「マキナちゃん……!」

はやてがマキナの右手を掴もうとした瞬間、結晶化して砕け散った。もはやマキナの身体は、切断された左腕と左脚すらも消滅したことで、胴体と頭までしかこの世に残っていなかった。
そんな彼女に治癒魔法を教え、かつ命を救った事があるシャマルは一際強い悲しみで頬を濡らす。治癒術師として治す力はあるのにSOPのせいで使えないことが誰よりも悔しくて……免許皆伝と言えるほどに成長していた愛弟子を救えないことが何よりも辛くて……シャマルはこの世の理不尽を嘆いた。

プログラム体で成長できないから、成長していく彼女に喜びを見出していた。いつか自分より優れた治癒術師となって、多くの命を救ってくれると思っていた。彼女は私が育てたんだと、世界に誇りたかった。だからこそ、シャマルの哀しみは他のヴォルケンリッターとは比較にならないほど強かった。

そして……眼を閉じた彼女から一気に力が抜けていくのを感じたジャンゴは、狙撃型スカルズを殲滅し終えて戻ってきたなのはと共に、必死にマキナの名前を呼び続ける。だが……もう彼女の口から言葉は何一つ発せられなかった。

「(……ごめん……シャロン、迎えに行けなくて……。…………あぁ………………サバタ……さま……、わたし……も、あなたのもとへ……)」

―――パリィン……!

マキナの身体が完全に結晶となって消滅した音に、誰もが感情を抑えきれなくなった。はやてもシャマルも、アギトもなのはも、悲しみの涙を流して彼女の名前を叫んだ。

そしてジャンゴは見た。崩れ去るサヘラントロプスを背景に、オリジナル・なのはの身体が完全に人間のそれに戻り、心臓の鼓動が復活した姿を。ヴァンパイアではなく人間として生存した光景を。命尽きる最後まで誰かを救おうとし、為し遂げた誇り高き人間の魂を。そして……ついさっきまで彼女を抱えていた手に残された、赤いダイヤモンドに秘められし炎の輝きを。

「シャロンの所に連れていくって言ったのに……! 約束したのに……果たせなかった……! サバタが救った命を、守れなかった……! ごめん……マ……キナ……! マキナァァアアァァァァアアアアァアアアアア!!!! うわぁああああぁぁあぁああああ!!!!!!」

この次元世界に来て、何もわからなかった自分を導いてくれた仲間の名前を、ジャンゴも叫んだ。けれども、いくらマキナの名前を呼んでも、彼女の返事は返ってこない。返ってくるのは残酷な静寂だけ
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