第三章 夢魔と半妖精に紡れる絆
虚像-フェイク-part1/誇りと愛の狭間で
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ラ・ロシェールよりも向こうの場所にある村、タルブ。その村の近くには、緑に覆われた山がいくつかそびえていた。
そしてその山の間に生い茂る森の中に、ハルケギニアの空を飛ぶ船の中でも、風変わりな様式と大きな船体を持つ船が落ちていた。
落下したのは、まだサイトたちがハルナの鞄を取り戻すべく舞台にたった頃。
レコンキスタを影から牛耳る謎の女『シェフィールド』や、彼女のもとで修羅の道をゆくメンヌヴィルことダークメフィストの魔の手から逃れるため、ティファニアたちはかつてアルビオン王党派と手を組んでいた炎の空賊団が乗り回す船『アバンギャルド号』に乗ってアルビオン大陸を脱出した。
自分たちを守ってくれるために残った二人のウルトラマン…シュウとアスカ、二人をあの場に残して。
それからしばらく、二人がいなくなったことでウエストウッド村の5人の子供たちは激しく動揺を走らせた。二人がいないことを差し引いても、まだ子供の彼らの身は大変危険でショックな出来事に見舞われ、ふさぎ込んだ様子を露わにしていた。だが彼らは、空賊たちが彼らと共に遊んだりご飯を作って食べさせたりなど、笑顔を取り戻させてくれた。
しかしまだ厄介な問題があった。
「なぜ僕が子守などをしなければならないんだ!」
そう言って声を荒げたのは、アルビオンの青年軍人であるヘンリー・スタッフォード。シュウたちが手に入れたインテリジェンスナイフ・地下水を握ったことで意識を乗っ取られたことで、結果的に彼らの逃避行に付き合わされることになった不幸な青年である。
彼は国への忠誠心が高い生粋の軍人。空賊たちとの折り合いは当然のごとく悪かった。
そうなることを予想して、マチルダは彼には地下水を身に着けさせたままの方がいいと思ったのだが、地下水でも、自分を握った相手を延々と操ることはできず、さすがに限界が来てヘンリーが自我を取り戻してしまったのだ。
「当たり前だろ。今のあんたはわしらの庇護下にある状態だ」
炎の空賊団のさん兄弟船長の一人『ガル』の一言に対し、ヘンリーはガルと、彼の傍にいる空賊のクルーたちを睨み付ける。
「僕がこんなことになったのは、貴様らのせいだろうが…」
「確かに、それは否定できん。でじゃが…それはそれ、これはこれ、だ。いくらあんたがわしらのせいでここに連れてこられたとしても、あんたがサボっていい理由にはならない。子供たちの未来もかかっているんだからな」
「僕の未来は無視するのか」
「おやおや、国のためなら命を捨てる覚悟を持った兵士のセリフじゃないのぉ?」
「き、貴様…!」
次男船長ギルの小馬鹿にしてきた一言に、ヘンリーは彼らをキッと睨み付ける。
今すぐにでも魔法でぶちのめそうかとも考えたが、生憎杖は取り上げられている。逆らわれないようにと、マチルダや空賊たちの提案だ。
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