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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
第三章 夢魔と半妖精に紡れる絆
虚像-フェイク-part1/誇りと愛の狭間で
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出るんだ!どうせ死ぬと考えるのが自然だろう!」
「馬鹿な男だね。一度繋がっちまった縁を、婚約を破棄した程度でプチンと切れるほど単純なことがあるもんか」
「それは…」
言い返そうと思ったが、ヘンリーは言葉をつまらせた。
「だいたい国を守るだって?何から?」
「それは…アルビオンを脅かす侵略者からだ!」
すかさず次の質問を投げ掛けてきたマチルダにヘンリーは思い付いた答えを言ったが、マチルダは明らかに呆れかえって深いため息を漏らした。
「なんだ、その反応は!」
「あんたね、アルビオンで暮らす人々ならまだしも、今のアルビオン政府に守る価値なんてあるのかい?
怪獣を使うわ、不可侵条約を結んでおきながらトリステインに不意討ち同然に侵略するわ、未知の技術で戦艦を強化し、その出所をろくに調べもしなかった。
あんたが少しでもまともなら、今のアルビオンを支配するレコンキスタがきな臭さ満載なの、わかるんじゃないのかい?
そんな怪しい連中と組むくらいなら、婚約者の傍にいて守ってあげるのがマシじゃないか」
次々と痛いところを突いてくるマチルダに、ヘンリーは押し黙る。
「あたしはアルビオンの貴族がどうなろうが構いやしないけどね、あんたは待つ側の気持ちを考えな。少しはその格好つけてるだけのおめでたい脳ミソも少しはマシになるだろうさ」
マチルダはそう吐き捨てて、「テファ、早く戻るよ」と一言告げ、船の方へと戻り始めた。
「…」
結局マチルダにまともに言い返す言葉も見つからなかったヘンリーは悔しくなり、その場で俯いたまま立ち尽くした。
「…ヘンリーさん」
すると、そんな彼にテファが、声をかけてきた。
「私も、あなたが最初から死ぬために戦うの、やっぱり賛同できない」
「…君もそう思うのか」
「だって、死ぬのは最後の最後じゃないですか。それまで、もう少しだけ…」
テファはエルフの血を引くがゆえ、幼い頃王弟の妾であった母と共に軍に追われ、殺されかけた。両親は死に、友達である妖怪ヤマワラワともはぐれ、川に落ちた。もう溺れて死ぬかと思った時、「諦めるな」という声が聞こえてきて誰かに手を引っ張られ、気がついたら川岸に打ち上げられたところを、探しに来てくれたマチルダに発見されたのだ。
「ヘンリーさん、婚約者さんのもとに生きて帰りましょう。その人も、きっと待っています」
「…」
「二人とも、早く来な!」
マチルダの声が聞こえた。テファは「今行きます!」と返事をして、すぐにマチルダのもとへ向かった。
生きて帰る…か。貴族の誇りより…愛のために生きる。そんなこと今まで考えたこともなかったかもしれない。



ヘンリーはそれから、森での生活に溶け込み出した。空賊たちの自由すぎる行動には度々面食らうことが多く、子供たちの相手も今まで経験したことがないことも
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