暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
第三章 夢魔と半妖精に紡れる絆
虚像-フェイク-part1/誇りと愛の狭間で
[12/15]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

「は!自分であります。ですが…なぜ陛下が自らここに?」
現皇帝が自ら、それもたった一人でトリステインの田舎に来るはずがない。だがこうして、自分の目の前に現れた。疑問ばかりが及ぶヘンリーは尋ねずに入られなかった。
「君が我が国から脱走した空賊共に誘拐されたと聞いてね。それが気になって様子を見に来たのだよ。我が虚無の力を使ってな」
「…!」
ヘンリーたち、アルビオンの兵士たち…末端の者たちには、彼が本物のクロムウェルではなく異星人の擬態であること、そもそも本物のクロムウェルが虚無の担い手を自称してただけで実際は違っていたことはわからないままだ。だから、クロムウェルがたった一人で突然この場所に現れたこと、彼の口から放たれた『虚無』のことを、彼は信じてしまう。
「さて、君をさらった炎の空賊たちはどこかな?」
クロムウェルは、本物の彼がそうだったように、貼り付けたような笑みを浮かべてヘンリーに尋ねる。
「それは…」
「いや、尋ねなくてもわかることだった。君がここにいるということは、この森の中なのだろう?」
「…はい」
「なら、彼らにも挨拶をしなければならないな」
「挨拶?」
「ヘンリー君、君に案内を頼みないが、構わないかね?」
ヘンリーはクロムウェルの口からそのような言葉が出てきたのを聞いて、目を丸くした。
「どうしたのだ?もしや、余の命令が聞こえなかったのかな?」
「ッ!い、いえ…そういうわけでは…」
自分はあくまでただの一兵士。立場上、皇帝である彼の命令に逆らう刺客などない。しかしヘンリー個人は、テファやマチルダたちに命よりも名誉を重んじる姿勢を見せはしたものの、あまりこのクロムウェルへの…レコンキスタが王権を簒奪してからのアルビオンに対して好印象は抱けなかった。怪獣という異形の存在を操り、ロイヤル・ゾウリン号…もとい、レキシントン号だって異常な改造を施していた。エルフの技術を導入したからだと入っていたが、どう考えても無理のある話だ。けど誰も疑おうとさえもしない。自分たちが伝統ある王室よりも、虚無を自称するどこぞの怪しげな男の持つ危険な力を信じた。きっと自分だけじゃないはずだ。
「そう動揺せずともいい。余にとってアルビオンの者たちは、聖地を求める同志にして友達。余が君のために行動するのは当然だ。なんなら、君をアルビオンへ連れ戻してあげようじゃないか」
「!」
故郷への帰還の話を持ちかけられ、ヘンリーは目を見開いた。
現在のアルビオンの最高権力者であるクロムウェルに逆らうほどの気概はなかった。何より…
(…彼女は今、どうしてるだろうか)
先刻のテファたちとの会話で、婚約を破棄した元婚約者の身を、案じてしまっていた。ロペットペンダントに入れた肖像画に描かれたままの彼女の姿が脳裏に浮かぶ。
「わかりました…こちらになり
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ