第三章 夢魔と半妖精に紡れる絆
虚像-フェイク-part1/誇りと愛の狭間で
[11/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
の野心を煽り、卑劣な手段を企ててきた。そんな奴らが支配する場所から落ちてきたもの…ろくなものとは思えない。しかもそれに引き換え、こちらは人間たちの怪獣などの災厄に対する防衛力は紙に近い。今のUFZもあくまで怪獣討伐ではなく、事前調査任務だ。もし怪獣が現れたら、現在立て直し中の軍に任せなければならない。
とはいえ、危険が伴う可能性がある以上、仲間たちの身の安全のために一刻も早く正体を突き止めたい。
サイトは目を凝らしながら、闇に包まれていく森の奥の方をじっと見ながら前へ進んでいく。
「…」
次第に二人は、進んでいくうちに何か嫌な気配を感じ始めていた。何か嫌なことが起こりそうな…
そのときだった。
「うわああああああああああ!!」
聞き覚えのある叫び声が聞こえた。ギーシュの叫び声だ。声からして明らかに、なにかしらの災いがギーシュと、彼に同行していたモンモランシーに及んだのかもしれない。
「ギーシュ!?」
「行ってみよう!」
二人は悲鳴が聞こえた方角へ走り出した。
さて、そのギーシュたちの悲鳴がサイトたちに届くまでに何があったのかを話そう。
「く、暗くなってきたな…明かりの魔法を使った方がいいだろうか?」
「そうね、あまりくらい状態で立ち回るのは危険だわ」
山林の中にある谷と谷をつなぐつり橋の上を、二人は明かりをともすコモンマジック〈ライト〉を使い、明かりをつけた。もう夜が近づき、森の中も暗くなって薄気味悪さが強まっていた。
「も、モンモランシー…怖いのなら僕の後ろに隠れるんだぞ?僕は君の騎士なのだから」
「…ぜんぜん頼もしくない騎士ね」
モンモランシーも確かに怖いがギーシュほどじゃない。というか…自分よりビビッているギーシュの姿を見て、逆に恐怖心が和らいでしまったのだ。ある意味そのあたりについては感謝しているが、やはり情けなく見えてしまう。
震える足をつり橋のロープで支えながら先を行く二人。ふと、モンモランシーはつり橋の下を見て、目を細めた。
「…何か見えない?」
「え?」
ギーシュも彼女の言葉に視線を下に向ける。すると、誰かが下にいるのが見えた。暗くてよく見えず、黒い影が二つあるように見える。
「もしや、幽霊…?」
「はっきり言わないでよ馬鹿!考えないようにしてたのに!」
「痛!?」
モンモランシーは気遣いがなっていないギーシュの頭をはたいて、再び視線を橋の下に向け、耳を済ませた。
つり橋の下にいる人がけの正体…それは見回りをしていたヘンリーと…
「く…クロムウェル皇帝陛下!?」
なんと、レコンキスタの総帥にして現アルビオン皇帝のクロムウェルだったのだ。
自分の陣営のトップを前にして、ヘンリーはすぐに跪いた。
「君かね?我が軍からここに連れてこられてしまった兵というのは
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ