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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二十一話 紛争
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タの声に思わず顔を顰めた。アーベントロート少将も似たような表情をしている。
「オペレータ、鋭意努力すると伝えろ。……簡単に言ってくれるものだな、少将」
「そうですね」
思わず二人で顔を見合わせ苦笑した。なるほど上司の悪口は蜜の味か、何処でも同じだな。
じりじりするような時間が三十分程続いた後、オペレータが叫んだ。
「閣下! スクリーンに敵艦隊を映します!」
頼むから敵と決め付けるな! 正体不明だ。そう思ったが沈黙を守った。スクリーンに映っているのは間違いなく同盟軍だ。予想していた事だったが厄介な状況になった。
「オペレータ、本隊に連絡、正体不明の艦隊は自由惑星同盟軍を名乗る反乱軍と判明。これより反乱軍に対して警告を出すと」
問題は連中がこちらの警告に素直に従うかだ。これまでの行動を見れば先ず無理だろう。これからどうなるのか……。
帝国暦 488年 8月 15日 ビッテンフェルト艦隊旗艦 ケーニヒス・ティーゲル フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト
艦橋は緊張している。ハルバーシュタットから連絡があってからだ。正体不明とは言っているがおそらくは同盟軍だろう。連中、どういうつもりなのか? 今の時点でこちらとの戦闘を望むとは思えんのだが、敵対行動としか思えない行動を取っている。
艦橋が緊張しているのは他にも理由がある。本隊は今、ハルバーシュタットの救援のためにフェザーンに向かっているのだ。戦闘が起きるのではないか、拡大するのではないかとの恐怖が皆に有るのだ。
一つ間違えると捕虜交換がぶっ飛ぶだろう。そしてフェザーン自体もどうなるのか分からない……。その事が艦橋に緊張をもたらしている。グレーブナー参謀長は最初に報告を受けた時、その場で戦闘は駄目だと断言した。
捕虜交換が吹き飛んだら宇宙に居場所は無くなると……。ディルクセンもオイゲンも顔面を強張らせてグレーブナーに同意した。そして俺に絶対戦闘は駄目ですと詰め寄った。俺だってそのくらい分かっている。
捕虜交換はヴァレンシュタイン司令長官も乗り気だ。そして捕虜交換は艦隊の再編に必要なことだ。俺は元帥に叱られたくないし、同僚達からも軽蔑などされたくは無い。しかしそれ以上に俺は部下を見捨てた卑怯者などとは言われたくない……。なんともやりづらいことだ。
「閣下、ハルバーシュタット提督から連絡です! 正体不明の艦隊は同盟軍とのことです!」
オペレータの声に艦橋の空気がさらに緊迫した。グレーブナー、ディルクセン、オイゲンが俺に視線を向けてくる。
「ハルバーシュタットに連絡。戦闘は許さず、後退せよ」
「はっ」
「艦隊の速度を上げろ、急ぐぞ」
俺の言葉にグレーブナーが心配そうな声を出した。
「閣下、何度も言いますが戦闘は避けなければ
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