プロローグ2 護るべきものを知った深海の姫
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自らの死』を意味している。当然少女に防空棲姫の魂を宿すことで、本来なら防空棲姫は死ぬはずなのだ。だが防空棲姫は今も消滅せずにこうして存在している。それは防空棲姫にとって初めての現象だった。
防空棲姫はそばに倒れている少女を見た。すると、驚くべきものが眼に入った。
「………驚イタ。マサカ右腕ガ治ッテイルナンテ」
防空棲姫の眼に入ったのは、少女が失ったはずの右腕だった。
防空棲姫は自分の魂を宿しても右腕は治らないと思っていたのだが、少女の身体から指先が鋭く尖り、赤いオーラを纏った黒い右腕が生えていた。
今の少女は半分だけとはいえ、間違いなく深海棲艦となっていた。それも下位のイロハ級などではなく、防空棲姫と同じ上位の鬼・姫級だ。驚くべきことに、少女は深海棲艦である自分の魂と拒絶反応を起こすことなく完全に適合していた。
そして、もう一つ驚くべきことがあった。それは防空棲姫自身だった。
今の防空棲姫の身体は青白い光に包まれており、物に触れようとしてもすり抜けてしまうのだ。
「………ナルホド。ドウヤラ私ハ魂ダケノ存在ニナッタヨウネ」
防空棲姫は今の自分の状態をそう推測した。おそらく今の防空棲姫は幽体で、本体は自分の魂が宿っている少女だろう。
(試シテミナイトワカラナイケド、コレナラ実体化スルコトモ可能ミタイネ)
防空棲姫がそう思ったとき、
「う………うぅ………」
少女が意識を取り戻したのか、呻くような声をあげながら起き上がる。そして周囲を見回したあと、自分の右腕を見て言った。
「あ……れ……?なんで、右腕が………?」
どうやら少女は自分の右腕が深海棲艦のものとなって治っていることに驚いているようだ。
防空棲姫は少女に言った。
「……ヤット眼ガ覚メタノネ」
「!?」
防空棲姫が声をかけると少女がこちらを振り向き、防空棲姫に驚いたのか尻もちをついてしまった。まあ人間からしたら目の前に深海棲艦が立っていたら驚いてしまうだろう。
防空棲姫は少女に言った。
「大丈夫?」
「は、はい、大丈夫です。………えっと、お姉さんは?」
少女がおそるおそる聞いてくる。おそらく、防空棲姫の名前のことを聞いてきているのだろう。しかしあくまで『防空棲姫』というのは人類が勝手に付けた識別名称であって、自身の名前ではない。かといって他にいい名前があるわけでもない。
防空棲姫はとりあえず名乗ることにした。
「ソウネ、艦娘ヤ提督カラハ『防空棲姫』ト呼バレテイルワ」
「『防空棲姫』さん……ですか。私は黒夢凰香っていいます。
「凰香チャンネ。身体ノ具合ハドウ?」
防空棲姫がそう聞くと、凰香がハッとした表情になる
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