労いの一杯
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
意外にも今回が初参加の雷が伊良湖に尋ねる。
「あ、私はあんまりお酒が強くないので……。」
「ふ〜ん。じゃあ、私と伊良湖ちゃんはお任せで!」
成る程、承りましょう。まずはワインか。この日の為にとっておきを仕入れてある。俺は秘蔵のセラーから木箱を取り出した。その側面には『Domaine de la ROMANEE-CONTI』と印字されている。
「て、提督これって……?」
「ディ、DRCじゃないですか!こんな高いものをわざわざ……」
DRC。ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ=コンティ。世界中で最も語る者が多く、口にする物が最も少ないとされるブルゴーニュワインの最高峰の生産者(ドメーヌ)を示す物。その証が印字された箱が今、目の前にある。そう、特別に箱買いしちゃったぜ。
「さぁさぁ、そんなにビビってないで。高級っていったってワインなんだからさ。飲まなきゃソンソン、ってね。」
俺は手早く箱から1本を取り出し、何の感慨もなくコルクを抜く。途端に広がる華やかな葡萄の香り。確かに匂いだけで判る、こいつぁスゲェや。しかし酒は飾る物じゃない、飲む物だ。グラスを2つ取り出し、並々と注ぐ。
「さ、どうぞ。」
鳳翔と間宮、2人に渡す。しかし2人共恐縮してしまったのか、口を付けようとしない。
「何だよ、飲まないの?なら、俺が貰っちまうぞ〜?」
「だ、ダメですっ!」
「い、頂きますっ!」
2人同時にグラスを傾けた。途端に2人の顔に驚きの色が浮かぶ。
「「お、美味しい……!」」
2人同時にリアクション。どうですか?世界最高の赤ワインのお味は。
「何と言い表してよいやら……」
「とにかく美味しいです!」
だろうね、俺も食レポ出来るとは思えねぇもん。さて、伊良湖と雷にはこの開けた赤ワインでちょっと贅沢な飲み方を提供しよう。
まずは鍋に水とシナモン、クローブ、スターアニス、乾燥させたオレンジピールを火に掛けて香りと風味を煮出す。香りが立って来たら火を弱め、砂糖とワインを鍋へ。弱火で砂糖を溶かしつつ、アルコールが飛びすぎないように暖める程度。濾過器を準備し、スパイスを取り除いたらマグカップに移す。
「さぁ、特製『グリューワイン』だ。お好みでベリージャムやレモン汁を足してな。」
本来はクリスマスのお祝いの時なんかに飲む物らしいが、まぁ年越しのお祝いでも良いだろう。
「初めて飲んだけど、すっごく美味しいわ!」
「はい、シナモンやクローブの香りが良いアクセントです……♪」
流石に伊良湖は料理が専門の艦娘なだけあるな。解説が上手い。さぁて、お次は熱燗ですか。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ