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WHITE ALBUM 2 another story ~もう一つのWHITE ALBUM~
【1話】とめどなく降り続ける雪
とめどなく降り続ける雪[後]
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「と、というか何でここにいるんだよ!!」

俺は思わず絶句する。なんでこいつがここにいるんだ・・・

「私だって、別にバイト先被りたくなかったよ!!」

彼女はそう言うと、俺に近寄ってきた。
急に動いたせいか、ギンガムチェックのエプロンに、緑の短いスカートが揺れる揺れる。

普段ボーイッシュな服を好んでいるせいか、女の子ぽい服装を見たことを一度(・・)しか見たことなかったので少しばかりこちらも恥ずかしい。

そして、彼女は俺が目線を逸らしたことに気づいたのか、頬が少し赤くなり、後ろを向いた。


きっと、彼女も知り合い(一応)にこんな姿を見られたくなかっただろうと。

「まあ、あれだ、俺も気にしないから・・な??」

「わかった。けどじっと見るなよ・・・ばか。」
彼女はスカートの裾を手で引っ張り少しでも露出部分を隠そうとしていた。

今までキャンパス内、同じ講義で見たとき、また少しだけ関わったあの時のどれもとは違う彼女が俺の前にいた。

「ちょっと、仲がいいのは構わないけど、こっちも回らなくなってくるから早くしてねー」

すぐさま俺は秋華さんの言葉に反応した。

「仲良くないです!」
「仲良くはありません!!」

すると隣からも同じような返答が聞こえた。

「ほらね」
さすがに返す言葉がなかった。





「飲み込みが早いな。ほかにバイトやってたのか?」

「まあねいろいろとね。レジ打ちぐらいはどこも一緒だし」

「そうか、ならこの店、独自の事を教えれば特に教えることはなさそうだな」

「あの時みたいだな。」

彼女は不意につぶやいた。たぶん俺に聞こえないようにだったと思うが。

「そうだな。」

別に彼女との付き合いは正直ないに等しい。
一緒に遊びに行く仲でもなく、連絡先を知ってるわけでもなく、昼食は・・数回一緒に食べたな。

ただ単位を落としそうな女の子をある運命の巡り合わせで助けただけに過ぎない。

俺と菜畑 心という人物の関係は、そうそれだけなのだ。


すると、彼女の声が話しかけてきた。

「2組来るけど、どうする??」

俺はまだ彼女に子供用のスプーンの位置や、お子様セットなどの説明をしていなかったので、捌きやすい方のお客様に向かわせることにした。

「じゃあ俺は家族連れを、菜畑はあっちの2人の男性客の方を禁煙席なら3番テーブルに喫煙席なら16番テーブルで頼む」

「私、家族連れの方をやる」

「そうか、分かった。テーブルはさっきの通りの所でいいから他に分からないことがあったら聞いてくれ」

あまりの即答だったのでちょっとびっくりした。




ホールから帰ってきた新人バイトはまるで戦場か
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