ガンダムW
1541話
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まぁ、ゼクスの場合は動揺しても仮面を被っているので表には出ないのだが。
「それは、どういう意味かな? 我々スペシャルズは連合軍の下部組織に近い扱いだ。今は敵対しないといった言い方はあらぬ誤解を招くと思うのだが」
そう尋ねてきたのはゼクス。
この世界の人間では分からないだろうが、その身体には間違いなく緊張がある。
どうやらこっちの言葉の裏を上手い具合に嗅ぎ取ってくれたらしい。
俺と綾子の生身での身体能力、そしてトールギスという機体とその操縦に耐えられるだけの身体能力、最後にお前達のオペレーション・デイブレイクは既に掴んでいるというのを臭わせるような今の言動。
この全ては、OZに対して俺という存在をしっかりと印象づける事に成功した。
俺と敵対した場合、間違いなく厄介な相手になると。
これでノベンタよりも俺の方を集中して狙ってくる……とは言えない。
連合軍という全体で見た場合、間違いなく俺よりもノベンタの方が重要な要素なのだから。
だがそれでも、ノベンタを護衛する俺という存在がいた場合、OZのメンバーは間違いなく躊躇するだろう。
もしくは戦意を喪失するという可能性も皆無ではない。
そうなってくれれば、こちらとしては非常に楽な訳で……それだけでも十分効果的なのは間違いない。
つまり、今俺がやるべき事は、少しでもゼクスとノインの注意を俺に引き付ける事。
レディ・アンはゼクスを嫌っているが、OZ全体で見ればライトニング・バロンの異名を持つエースパイロットのゼクスの影響力は決して低くはない。
レディ・アンが嫉妬する程にトレーズもゼクスを信頼しているしな。
「うん? 何がだ? スペシャルズというのはOZの……PMCから派遣されている組織だろう? なら、当然お得意様の連合軍の機嫌を損ねる訳にはいかない。そんなつもりで言ったんだが?」
「……そうか」
完全に納得しているようには見えなかったが、それでもゼクスが返す事の出来る言葉はそれしかない。
「とにかく、トールギスについてはもういいな? そろそろ格納庫に戻したいんだが」
「ああ、今回は色々と手間を掛けさせた」
敬礼するゼクス。
今更だが、ゼクスは現在上級特尉とかいう階級だった筈だ。
ノベンタに雇われてから調べた限りだと、確か特尉というのは少佐相当の階級だった筈。
連合軍元帥直属の傭兵団の隊長と少佐……階級としては微妙なところだな。
ともあれ、敬礼をしているゼクスに頷き、俺と綾子はその場を歩き去る……前に、ゼクスの横を通る時、ゼクスだけに聞こえるような小声で呟く。
「オペレーション・デイブレイク」
ビクリ、と。
先程よりも間違いなく衝撃を受けたような様子で身体の動きを止めるゼクス。
敬礼
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