約束の証明
[5/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
『アームハンマー』は強力だけど使った後は動きが鈍るはず……」
「それでも問題ないさ。僕のレジスチルは攻撃も防御も無敵なんだから。今度は『メタルクロー』!」
「クー、ここは耐えて……!」
レジスチルは、伸ばしたままの腕の先端を鋭くしてクチートの顎ではなく身体を狙う。炎の爪を必死にクチートは捌くが、それでも熱された切っ先はクチートの顎、身を守る盾であり矛を削っていく。
10秒、15秒、20秒。今だ身体そのものを焼かれ続けているのに、レジスチルの攻め手は緩まらない。それどころか、『メタルクロー』の攻撃すればするほど研ぎ澄まされる力で与えるダメージは多くなっている。
「……それにお礼を言わなくちゃね。君たちの火炎放射のおかげで本来以上の攻撃が出来るよ」
「どういうこと?」
「ふふ、対戦相手に聞くとは素直だね。それも君の美徳だけど……金属っていうのは熱せられると柔らかくなる。まあレジスチルは元々最も硬く最も柔らかい金属で出来たポケモンではあるんだけど、ね」
「自分の弱点ですら、攻撃のための力に変える。これがジャックさんの本気……!」
レジスチルの特性は『クリアボディ』であり相手による能力の減少を受け付けず、自分の『呪い』に『チャージビーム』、『メタルクロー』で自分の能力を徹底的に上昇させる。元々高い能力を持つがゆえに、速攻で沈めることも極めて難しい。
(だけど、弱点はある。それは『呪い』や『アームハンマー』は己の速度を下げること。そしてもう一つ)
ジェムの予想では、その弱点はもうすぐ露呈するはずだ。だからこそここまで攻撃せずに耐えることに集中していた。凌ぎつつも諦めない様子のジェムに対し、ジャックは静かに言う。
「ああ。残念だけど、レジスチルは炎に焼かれる直前に『ドわすれ』を使ったみたいだね。『チャージビーム』を一時的に使用する選択肢から消すことで、守りを固めたんだ。……もしかして、特防を上げる手段はないと思ったかな?」
「……!!」
ジェムの表情が険しくなる。レジスチルは特防を大きく上げる技も備えていた。しかも『火炎放射』を受ける前に使われていたのなら、ほとんどダメージはないに等しいだろう。クチートは遠距離攻撃が本分ではないからだ。
「手を緩めることに期待して守りに入ったのは失敗だったね。攻撃力がもう4段階、防御が1段階、特攻と特防が2段階……ここまで上がった時点で、もうレジスチルには手が付けられないよ。残念だけど、このまま押し切らせてもらうね」
ジャックの顔が、翳った。その表情は儚くも久遠の時を光る月明りのように淋しげだった。勝利を確信し、これ以上の盛り上がりは望めないからだろう。
そんなジャックを見るのは辛い。彼はジェムにとって兄であり友であり師匠であ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ