約束の証明
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破裂した水は、マリルリの『身代わり』だった。気づかぬ間に、スイクンの体を打ちつけた氷柱は上に傾いて斜めになっていた。それは、『アクアジェット』で上に飛びあがったマリルリが凍った氷柱を持ちあげたせいだった。
体に似合わぬ尋常ではない怪力は。氷柱を完全に持ち上げ、再びスイクンを撃つ巨大な氷のバットにする!
「な……逃げろスイクン!」
「どこにいても同じよ!いっけえ、逆転満塁ホームラン!」
ジェムが拳を突き出すと、マリルリは氷柱をフルスイング。フィールドを根こそぎ吹っ飛ばすような動きはスイクンを芯で捉えて、天井まで叩きつけた。落ちてスイクンに、完全に力は残されていない。
「……お疲れ様、スイクン」
「ルリ、ありがとう。後で元気にするからね」
ジャックはスイクンが地面に叩きつけられる前にボールに戻し、ジェムもマリルリをボールに戻した。身代わりの使用に消耗が少ない二回のジャンケン、そして最後の一撃はさすがのマリルリといえども通常の力では不可能。調整なしの、全力の『腹太鼓』を使ったためもう体力は残っていない。
「スイクンの反撃を予測して身代わりを作っておいたとはね……」
「何が起こるかわからないのがポケモンバトル。強烈な一撃の後も油断は禁物……でしょ?それに、私達がジャックさん相手に油断なんて出来るわけないじゃない。いったい今まで何度負けたかわからないんだから」
「ふふ、楽しいね。さすが僕の弟子だ。やっぱりバトルっていうのはこうでなくっちゃ!!」
ジャックが二つめのモンスターボールを取り出す。ジェムも二体目のクチートを出した。
「それじゃあお待ちかね、かつて君のお父さんを苦しめた伝説のポケモンの登場だ!現れ出ちゃえ、全てを弾き返す鋼のヒトガタ――レジスチル!!」
鉛色の丸みを帯びたボディに、表面の点字。いかなる感情も伺えない面持ちが、異常なプレッシャーを放っている。
(このポケモンが、昔お父様と戦った……)
話はジェムの母親やジャックから聞いている。まだ旅の途中、圧倒的な力を前に父親が屈しかけた伝説のポケモン。場に出たクチートが『威嚇』をするが、全く意に介した様子を見せない。
「あの時は技を出せなくなるまで戦う消耗戦だったけど、君はどうするのかな?君の答えを見せておくれ」
「……私達は正面突破で行くわ!クー、メガシンカ!漆黒を靡かせ、仇なすものをを噛み砕いて!」
ジェムが拳を天につき上げ、クチートの体が桃色の光に包まれる。一つの後ろ顎が枝分かれし、ツインテールのような二口になる。それを持ちあげ、クチートがあざとく笑顔を浮かべた。
「さてさて、続いて『力持ち』のポケモンか。ならレジスチル、『呪い』だ!」
「クー、『噛み砕く』!
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