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フロンティアを駆け抜けて
約束の証明
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渡せて良かった」
「……うん、大切にするわ」

 受け取ったシンボルを眺めた後、パーカーの中の内ポケットにしまう。

「そろそろ聞いてもいいかな。レジギガスをどうやって倒したのか。あの冷凍ビームはダメージにも足止めにもなっていなかったはずだけど」

 倒れた直後に動いたことからして、ジェムは確信をもって何かを仕掛けたはずだ。ジャックがジェムのオッドアイを見つめる。

「レジギガスが倒れたのは……ジャックさんが『炎のパンチ』を使ったからだよ」
「どういうことかな?」
「氷の上は滑りやすいっていうけど、カチンコチンの氷は滑らない。あれは氷が少し溶けて水があるから滑るって知ってる?」
「……へえ、むしろよく知ってるね」
「これでも勉強はしてるもの」

 レジギガスの炎によって、氷は溶けていく。そのたびにまた凍らせる。結果、氷が少しだけ溶けた状態になる。

「そして極め付けは、ジャックさんのレジギガスは一気に最大速度で決着をつけるつもりだったということ。思いっきりパンチをしようとしたら、足だって踏ん張らないといけないわよね。だから地面を踏む力は強くなる。強い力で踏まれれば、氷は溶けるし余計滑りやすくなる」
「そこまで考えてあの技を……」
「ねえジャックさん、私はお父様に近づけたかしら?」

 バトルに勝って嬉しそうに言うジェム。その思いは純粋で尊いものだが、少し物悲しくもある。だけど、それを否定する権利は自分にはないとジャックは考えていた。

「そうだね、本当に強くなったし、賢くなった。まさにあの二人の意思を継ぐ存在だよ」
「えへへ……」

 ジェムにとってはそれが最大の賛辞だ。緩んだ年相応の笑顔を見て、若いなあと思うジャック。

「だけどジャックさん、一人忘れてるわ。本気のジャックさんと勝負してみて分かった。私はお父様とお母様と……ジャックさんの強さも、貰って生きたい。3人とも私の尊敬する家族だもん」
「……」

 ジャックはぽかんとした表情を浮かべた。3000年の時を経て、なお幼子の姿である自分に家族などできるわけがないと思っていたから。

「そっか。そっか。あはは、年を取るといらない心配ばかりしていけないなあ。あははははははっ!!」
「もう、何言ってるのジャックさんったら。それじゃあ……今は帰るけど、これからもいろいろ教えてね?」

 哄笑するジャックは、ジェムが今まで見てきたどの時よりもうれしそうだったけど、瞳が緩んで涙が溜まっているのも気が付いた。そのうえでジェムは笑って手を離した。きっと、触れられたくはない涙だろうから。

「もちろんだよ。僕の弟子であり妹で大切な孫娘だものね。君はこれからもいろんな人と戦って、勝ったり負けたり、時に
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