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フロンティアを駆け抜けて
約束の証明
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スの分身は光の屈折を利用するもの。突然発生した高熱は砂漠で蜃気楼が起こるように、空気を歪ませ、淀ませる。『冷凍ビーム』の氷もあっさりと解けた。

「炎そのものの攻撃じゃないのに、ここまで……」
「もうこれで分身は出来ない。今度はこっちが対策させてもらうよ」

 また『冷凍ビーム』を使えば空気は冷やせるかもしれないが、そうすればまた『炎のパンチ』で鼬ごっこが続くだけだ。一瞬で氷は解ける。タイプ一致の念力もドラゴン技も効かない。

「……『ミストボール』!」
「来たね、ラティアスだけの得意技が」

 ラティアスが虹色の球体を作り出し、レジギガスに放つ。当たる直前で霧散し、視界と技の威力を奪う魔法の霧になる。これなら炎のパンチでも溶かすことは出来ない。もともと気化しているのだから当然だ。
ラティアスとジェムにはここから派生して相手の体を水で包んで動きと呼吸を奪い、最後に念力で押しつぶす必殺技がある。だがさすがにレジギガスほどの巨体は包めないし、そもそも息をしているのかもよくわからない。自分を姿を隠すので精いっぱい」

「せっかくの専用技も、通用しないかな?」
「……それでも、負けないわ」
「期待してるよ。だけど容赦はしない!レジギガス、『見破る』!」
「ラティ、逃げて!」

 レジギガスの腹、左右対称になった3対の目のような部分が光を放つ。その目には、はっきりと霧の中のラティアスの姿が写った。だが警戒し距離を取るラティアスをすぐに攻撃はしない。今の速度では居場所はわかっても逃げられる。

「レジギガスの『スロースタート』が切れるまで後30秒……本気の速度で、狙いを定めたレジギガスが攻撃する。それでチェックメイト!」
「くっ……」

 本来の速度に戻ったとしても、ラティアスの移動速度に及ぶわけではない。だがジェムとラティアスはそのことはわからない。最大速度の広範囲攻撃を浴びせれば、少なからず硬直するだろう。避けられない。
だけど、ジャックの中に失望や退屈はなかった。まだジェムは12歳。それでスイクンとレジスチルに打ち勝ったのだ。十分褒めたたえるに値する。将来に期待が持てる。

(そして、実はあと30秒ではなく15秒、『スロースタート』の影響時間は4分45秒……ジェムはいい子だ。故にこそ隙がある。相手の言うことをなんでもかんでも信じちゃいけないって教えてあげないとね) 

 老爺のような、いたずらっ子のような表情を浮かべるジャック。ジェムは必死に考えを巡らせているだろう。あと10秒まで迫ったとき、行動を起こした。

「ラティ、時間ぎりぎりまでレジギガスの足を『冷凍ビーム』で凍り付かせて!」
「足元を凍らせれば、動けなくなるっていう作戦か……悪くないね。だけど『炎のパンチ』
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