18話「犬さんの義勇軍」
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紅い狐耳と尻尾の少年が言った。歳は恐らく12歳ほど。
……今が秋で、紅葉の季節だから良いものの……これが春や夏や冬の戦だったら、敵に接近されたら目立つぞ……これ……。
「お前の名前は?赤い狐耳が格好良いな!」 『お世辞だお?』
「え!?俺の名前が全く覚えられてない!?」
『犬さんが最初にボコボコにした獣人ですぞ』
『モーニャンの弟さん』
なるほど、素晴らしき狐娘の弟さんか。
……モーニャンって10歳児じゃないのか?
なんで、年下のこいつだけ、とっても体格が良いんだろう。
……まぁいいか……体格が良いとか、悪いのも全部個性だよな。
「いや、知っているぞ。
名前は確か……」
『モトラーさん』
「そうだ!モトラーだ!懐かしいな!
何処となく、ガス室とかで大量虐殺やりそうな偉人っぽい名前だな!」
「やったー!名前を覚え……られてねぇぇぇぇぇ!
なんで俺をあんだけ殴って、奴隷のように酷使したのに覚えてないんだよ!?
モッフルだよ!モッフル!モーニャンの弟だよ!」
「本当に良い名前だな!
モフられるために産まれてきたのか!」
「勝手に存在意義を決めないでくれ!?」
「僕はお前らを酷使するが、ほとんど戦わずに勝利できるって事を教えてやろう!
お前らは一日に、何グラムのパンを食べる?」
「全然、話を聴いてねぇぇぇぇぇぇぇ!?」
モッフルとの心温まる会話を泣く泣く打ち切って、僕は本来の話題へと戻った。
獣人達は、耳や尻尾を混乱させて固まらせて悩んでいるようだ――
「グラムってなんだろう?」「パン屋さんの名前か?」
「分かりましたぞ、魔剣の名前でしょうか?」
そうだった、異世界だから度量衡が違う。
フランスで誕生したメートルとかグラムを知る奴がいるはずがないのだった。
だが、僕の計画に狂いはない。元々、相手が知ってない事を前提に、会話しているんだ。
僕が右手を上げて、合図を後ろに送ると、ホカホカの暖かいパンが入った荷台が、広場へとやってくる。
荷台を引いているのはモーニャンだ。
僕はその荷台を右手で指差して――
「このパンの量が、約1万gだ!
見て覚えろ!あとで皆に配るからな!
kgって単位も後で教えるから覚えろよ!」
「はぁーい。焼きたての美味しいパンだよー。
アスファルトとか、石膏とか入ってないパンだよー」
宣伝中のモーニャンの口に、パンくずが付いていた。
明らかにパンを作るついでに、つまみ食いをした証だった。
……報酬を渡してないから、つまみ食いくらいは許しておこう……。
これも全部、貧乏が悪いんだい。
「パ、パンだぁぁぁぁ!!」
「石膏が入ってないパンとか最高だぁぁぁ!」
「やべぇぇぇよぉぉぉ!焼
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