魔王 〜小さいおじさんシリーズ15
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ソードが残っちゃってるのがもう、どうかと思うがそれはさておき。
「ということは?」
「ここは、餌場だな」
豪勢が、続いて端正が『ズコー』みたいな感じにひっくり返った。
「え、餌場…」
「さっきの俺たちの激論は一体…」
「くくく…ご子息は、こういう男なのですよ…くくく…はははははは!!!」
呆れて転がっている二人と白頭巾の大哄笑を残して夜は更けていく。
「あいつは在位7年で死んだ」
杯に残った酒を呑み干し、豪勢は天井を仰いだ。ここは俺の四畳半で、星も見えないというのに。
「もし…もっと永らえていたら、魏は…修羅の巷にでもなったのだろうか」
すっかり酒に飽きて書を繰っていた端正が、静かに顔を上げた。
「かつてこの国に、彼と似たような王が誕生したことがある。極めて有能で、酷薄で、気性の激しい」
「云うねぇ、親の前で」
「親の葬式で位牌に灰をぶっかけて立ち去った不躾さも似ているな。…彼は政治も経済も恐るべき手腕で整備し、対抗勢力には容赦はしなかった。寺は焼かれ、女も子供も容赦なく弑され、妹婿の頭蓋骨を杯として酒を呑み」
「こっちも呑んでるときにグロいこと云うねぇ」
「やがて天下統一が目前に迫ったその時、彼は、部下に殺された」
「………そうか」
端正は本を閉じ、顔を上げた。
「曹丕殿も病没せずとも、そう長生きはしなかったかもな。…敵味方に畏れられたその王は、こう呼ばれたらしい」
―――第六天魔王、と。
魔王か、と呟き、豪勢はにやりと笑った。
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