母娘のような、そんな関係。
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「あぁやっぱり、ここだと思いましたよ。」
「大和ちゃんじゃない。貴女も晩酌に?」
現れたのは我が鎮守府の秘密兵器とも言える超々弩級戦艦・大和だった。その燃費の悪さから普段の出撃部隊に加わる事は殆ど無いが、大規模作戦の際などには妹の武蔵共々、その消費量に見合った活躍をみせる、正に切り札。そんな彼女は駆逐艦や軽巡等からの信頼も厚い。艦齢としては彼女達の殆どが年上なのだが、やはりそこは連合艦隊旗艦を務めていたという実績もあってか殆ど皆が大和「さん」か、武蔵や長門のように「大和」と呼び捨てにする。……そんな中、唯一と言っていい例外がこの鳳翔さんだ。彼女だけは、大和「ちゃん」と、まるで娘のような呼び方をする。当の大和もそれを嫌がる事もせず、寧ろ鳳翔さんを「お母さん」と呼んで本当の母と娘のように仲が良い。現に今、大和は鳳翔さんに抱き付いて頬擦りしている。
「や、大和ちゃん……ちょっと痛い…。」
「あっ、ご、ごめんなさい……。」
怒られたと思ったのか、大和は鳳翔さんを羽交い締めから解放すると、俯いてシュンとなってしまった。何だろうな、やはりウチの大和は精神的に若干幼いような気がする。
ウチの鎮守府に大和がやって来たのは、大型艦建造が可能になった直後の事だった。その際も他の鎮守府のそれとは精神的に違いがある大和に大本営も興味を持ち、彼女を解析することによって建造システムの謎を解こうとした。人道的にダメだと言われそうなギリギリの事も少しはやったが、結果は芳しく無かった。最終的に出された結論は、『建造中、もしくは建造直後の大和の艦魂が宿った、と推察される』という、なんとも曖昧な物だった。
太平洋戦争中、大和は大日本帝国海軍の秘密兵器として、呉の海軍工廠にて、軍艦としての最後の仕上げ、艤装の装着作業がされていた。その傍らには、その巨大な船体を少しでも隠蔽しようと鳳翔が停泊していたらしい。その際の記憶が強く反映され、まるで雛鳥の刷り込みのように鳳翔さんを母と慕うようになったのではないか、と結論付けた。勿論、真相の程は解らない。だが、こんな関係も悪くないんじゃないか?俺はそう思うのだ。
「大和ちゃん、貴女も何か注文したら?」
「そうね、折角ですから。……う〜ん、お酒って気分じゃないから紅茶!ロイヤルミルクティーで。それとお茶菓子も下さい。」
ロイヤルミルクティーは簡単に出来るが、今からお茶菓子か。時間がかかるなぁ……何か無かったか?…あぁそういえば、無くなる寸前だった果実酒使って作ったアレがあったな。アレを切って出してやればいいか。出す茶菓子は決まったからな、次はロイヤルミルクティーを淹れるとしようか。因みにだが、読者諸兄はミルクティーとロイヤルミルクティーの違いを知っているだろうか?そもそも、
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