家庭で作れる酒の味。
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
呼ばれ、鎮守府全体の母親のような役割を担っている。また、その料理の腕を活かして鎮守府の敷地内に小さな小料理屋『居酒屋 鳳翔』を構えており、艦娘達の癒しの場となっている。……らしい。らしいと曖昧なのは、鳳翔さんの店は提督は出入り禁止で、艦娘達のぶっちゃけトークの場ともなっているのだ(青葉に頼んで覗いた事はあるけども)。
「今日は店はいいのかい?いつもならまだ客が大入りの時間だろうに。」
時計を見ると、時刻は午後10時過ぎ。いつもならば隼鷹や千歳、足柄や武蔵などの飲兵衛共が大騒ぎしている時間帯のはずだ。しかし鳳翔さんはクックッと肩を揺らして笑うと、
「もうすぐ大規模作戦の前ですから、やることがない娘達が多いのでお店を早く開けたんです。その分、早仕舞いしちゃいました。」
成る程な、そういやもうそんな時期か。大規模作戦の前はその海域に全力を注ぐために出撃を必要最低限まで減らし、その分遠征の割合を多くして資源の備蓄をしていく。遠征任務は駆逐艦と軽巡洋艦を主とした水雷戦隊がメインだから、必然的に戦艦や空母達はすることが無くなる為に早くに飲み始める奴が多いってワケか。その頃はまだウチは執務中だから開いてない。
「それで今日は暇だったのか、どうりでなぁ。」
「だから、私も来た事が無かったのでたまには飲みに行こうかな、と思いまして……。」
照れ臭そうに頬を染める鳳翔さん。何故だろう、声が幼く聞こえるせいなのか、とても可愛らしく見える。お母さんというよりも、まるで若い人妻のような艶っぽさを感じる。
「そうか、鳳翔さんがウチに来るのは初めてだったか。じゃあ、何を飲もうか?日本酒?それとも焼酎?」
「いえ、先程の梅酒作りを見ていたら果実酒が飲みたくなってしまいました。梅酒以外の物もあるんですか?」
「色々あるよ。梅にリンゴ、ミカンにオレンジ、イチゴ、キウイ、ブルーベリーにザクロ、パイナップル、レモン、アンズ、ユズ、カリン、スモモ、サクランボ、キンカンにコケモモに……。」
ざっと数えたら30位か。実際はそれ以上にある。果実酒の良さは、好きなフルーツを漬け込んで自分の好きな味に作れる所だよな、やっぱり。
「沢山あるんですね。…では、梅酒のソーダ割りをいただけますか?」
「あいよ。何年物にする?」
梅酒はほぼ毎年のように漬け込んでいる。浸かり具合やその年の梅の出来具合で味が変わる。まぁ、俺は3年以上をお奨めするがね。
「では……6年物を。」
あいよ、と返事をして梅酒の瓶を取り出す。中のホワイトリカーは琥珀色を通り越して樹液のような濃いブラウンになっている。それを氷の入ったグラスに注ぎ、炭酸水を注ぐ。割合は半々。漬け込みが浅いと少しキツく感じるだろうが、3年以上寝かせた物だとこ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ