ズボラのグルメ・1
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「何?飯の作り方を教えろって?なんでまた。」
その艦娘に相談を受けたのは、丁度その艦娘が遠征帰りの報告に来た時だった。俺はその相談を受けて驚いた物だ。普段の生活態度や任務への臨みかたを見る限り、ついぞ料理をするタイプには見えなかったからだ。
「あ〜、それなんだけどさぁ。」
その艦娘は面倒くさそうに頭をガシガシと掻くと、
「もうすぐ菊月の奴の誕生日なんだよね〜。んでさ、姉貴達と協力してパーティやろうって話になってさぁ。アタシも何か作らないといけなくなったワケ。」
なるほど、普段から面倒がって自分から動くことをしたがらない彼女だが、やはり姉妹の事となると話は別、というワケか。しかし、料理を習うならもっと適任な奴がいるだろうに。
「なら、間宮とか鳳翔さんに習ったらいいだろうに。」
「いやぁ、あの二人に教わると本格的な料理になっちゃって面倒くさそうじゃん?だから、手抜きをしても見た目が豪華そうな料理が作れそうじゃん?提督って。」
おいおい、お前は俺を何だと思ってんだよ、ったく……。
まぁ、姉妹の誕生日を祝いたい、というその気持ちは汲んでやりたい。
「わかった、わかったよ。…明日、仕事終わって晩飯の後にココに来い。」
「あいよ〜。ありがとね、提督。」
「ホレ、解ったらとっとと補給行ってこいよ……望月。」
「へいへい、んじゃ明日よろしくね〜。」
睦月型駆逐艦の11番艦・望月。そのユル〜い雰囲気と気だるそうな喋り方が癒される、と提督達の間でも話題になる艦娘だ。
さて、その翌日。執務を終えた執務室も今日は飲兵衛厳禁。危険要素だった長門は演習の相手を頼まれていた新人提督の鎮守府に送り出してやったので、問題は無いだろう、たぶん。準備を整え、望月を待っていると
「司令官〜、来たぞ〜。」
と、相変わらずの気だるそうな望月の声が。
「おっしゃ。準備は出来てっから、入ってこい。」
「し、失礼しま〜す。」
俺の目に映ったのは、駆逐艦の小さい頭が1つ、2つ、3つ。……あれ?増えてね?
「おい待て、望月がいるのは判る。だがなぁ、なんで長月と文月もエプロンと三角巾をしてんだよ。」
「いや〜、それがさぁ。」
めんどくせ〜、という表情が見てとれる望月の口が重い。ならば代わりに、とでも言いたげに長月が堰を切ったように喋りだした。
「しょ、しょうがないだろう!?私と文月も料理はそんなに得意ではないのだ。普段から如月姉さんや三日月に任せっきりだったし、間宮さんや鳳翔さんの所で用が足りるんだ。そもそも、元は軍艦の私達艦娘が料理の腕なんか必要ないだろう、そう思っていたんだ……けど…、」
長月がそこで言葉に詰まり、俯いてしまった。小刻み
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