第三十二話 帰投
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吹き飛ぼうともできる限りの砲弾を相手に送り込む必要があった。その如何については各艦娘の技量と気力とにかかっている。紀伊も顔を引き締めた。
「さぁ、砲撃戦!開始するわよ〜!」
「撃ちます!あたってぇ!!」
霧島、そして比叡が砲戦を開始した。
「35,6センチ3連装砲1基だけだけれど、でも、戦艦として存分に暴れちゃうよ!!う〜〜〜〜〜てぇ!!」
讃岐が腕を振りぬく。
「旗艦として撃ち負けるわけにはいかない・・・・・。主砲全門全力集中射撃、開始です!!テ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
敵深海棲艦艦隊も応戦し、双方ともに凄まじい砲撃戦が展開された。
並行戦闘では互いの姿、そして被害状況がはっきりと見えている。
どの深海棲艦も絶え間ない砲弾の狭窄、命中そして爆炎を立ち上らせているが、その砲撃活動は活発でやむところを知らない。一方の紀伊たちも当然無傷では済まなかった。絶えず前後左右に砲弾が落下し、水柱が林立する中を全速航行で進む。その砲弾の炸裂する破片が飛んできて、艤装に当たり、派手な音を上げたかと思うと、その付近に凄まじい飛翔音を上げながら巨弾が落下していく。海上は煮えるように沸き立っていた。
後ほどこの戦闘結果を聞いた葵はこう感想を漏らした。
『並行戦闘は双方共が一定の距離で撃ちあうまさに陸上の白兵戦なのよ。したがって双方の被害はすさまじいものになるわ。この戦闘を行う上での勝利の方程式は次のとおり。いかに自分たちの射撃可能な主砲砲門数を確保し続けるか。そして、いかに短時間で多くの砲弾を相手に叩き込むか。自分たちの損害よりも敵に対するダメージの与え方を考慮するべきね。ま、後は気力がどこまで続くかどうかかな。』
戦闘に突入してから数分後が経過していた――。
(敵の艦載機が来ない・・・。さすがは赤城さんと加賀さん、そして護衛の能代さんたちの働きあってこそね。)
ここで艦載機まで飛来してくれば、紀伊たちは全力集中射撃ができない。その結果なし崩し的に戦線が崩壊して全滅させられる可能性がある。各員がそれぞれの位置でそれぞれの役割を果たしているからこそ、かろうじて戦線が維持できている。
このままのりきれるか――。
突然だった。紀伊の耳に凄まじい轟音が飛び込んできた。紀伊が振り向くと、黒煙から飛び出してきた艦娘がいる。
「比叡さんッ!!」
「すみません・・・・ドジを踏んじゃいました・・・・。」
比叡が一瞬ばつが悪そうに笑ったが、顔をゆがめるとぐらっと倒れ掛かった。
「比叡姉様ッ!!」
「大丈夫ですかっ!?」
駆けつけた讃岐と霧島が比叡を支える。敵の主砲弾が比叡の兵装に命中し、主砲が2本とも折れ曲がって機能しなくなっていた他、肩に傷を負っている。
「二人とも、いったん比叡さんを伴って後退してください!私が引き
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