第三十二話 帰投
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り替え、顔を引き締めた。
「作戦を提案します。皆さん、ここが正念場です。よろしくお願いいたします。」
『はい!』
「能代さん、舞風さん、野分さんは赤城さん、加賀さんの護衛をお願いします。私たちの右翼後方に位置して敵の艦載機隊を追い払ってください!」
「はい!・・・いいんですか?」
ただでさえ総力戦を展開しなくてはならないというのに、護衛として3人も離脱してしまっていいのだろうかという想いが顔に出ていた。
「大丈夫です。赤城さんと加賀さんが全力戦闘指揮に専念できるように、お願いします。」
「能代、水雷戦闘は私が指揮する。大丈夫。」
矢矧が力強くうなずいて見せる。
「わかった。紀伊さん、任せてください。赤城さんと加賀さんを私たちで守り切ります!」
能代がうなずく。
「よろしくお願いします。」
赤城がいい、加賀も無言だったが、軽く頭を下げた。次に紀伊は水雷戦隊を振り向く。
「愛宕さん、矢矧さん、磯風さん、清霜さんは水雷戦闘に備えて待機。ただし進出する敵の軽巡艦隊は追い払ってください。敵の発射地点への接近を全力で阻止、水雷を撃たせないで。」
「了解です。」
「あ、清霜は砲撃戦に――。」
「戦艦になりたいからという動機で戦艦同士の砲撃戦に加わることはできないわよ。」
矢矧が怖い顔で言った。
「第一まともに敵の主砲を食らえば、私やあなたではひとたまりもなく轟沈するわ。」
「う・・・・・。」
清霜は恐れ入った顔で黙り込んだ。
「大丈夫。清霜さんには清霜さんにしかできないことをお願いします。」
紀伊が優しく話しかけた。
「軽快な水雷戦隊の排除は私たちには出来ません。だから、お願いです!」
「私にしかできない事・・・・」
清霜は一瞬言葉をのんだが、次の瞬間明るくうなずいていた。
「うん!頑張ります!」
「ありがとう!!戦艦部隊は私、讃岐、比叡さん、霧島さんの4人で相手します。」
「その怪我で、ですか?!」
大井が叫んだ。包帯を巻かれたとはいえ、紀伊の右腕はだらりと力なく下がっていて動かなそうだった。
「大丈夫・・・まだまだ戦えます。」
紀伊は気丈にうなずいて見せた。
「そして、大井さん、北上さん。あなたたちは私たちの切り札です。私たちが並行戦闘で敵を相手取ります。敵の眼が私たちに向いている隙をついて後方から迂回、敵の左翼から一気に突撃して全力で雷撃を敢行してください。」
大井北上は息をのんだ。この作戦の成否、ひいては全艦隊が生き残る成否が自分たちにかかっている。だが、二人ともすぐにうなずいた。
「わかりました。大丈夫です。北上さんとならどんなことだってやれます!というか、紙装甲なんて言わせないわ。」
「私もだよ。大井っちがそばにいてくれればどんな相手だって負けないもの。ね〜。」
信頼しあう二人のことをほほ
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