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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第七十話 クライマックスに向けて駆け上がります!
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のままじゃ私たちは挟み撃ちじゃない!!」
ルグニカ・ウェーゼルがついに叫んだ。
「なによりも、将兵たちが動揺していては・・・・負けるかもしれないのに・・・・。」
バーバラがかすれた声でつぶやく。わかっていても、どうすることもできない。そのもどかしさにルグニカとバーバラが
艦隊司令
(
フィオーナ
)
に通信回線を開こうとしたその時だ、フィオーナからの通信がフィオーナ艦隊内部専用の回線で発せられてきたのは。
『全艦隊に告ぎます。』
フィオーナは澄んだ声で告げた。
『ミュッケンベルガー元帥から、私たちの艦隊が先行して突出するように指令がありましたが、何の心配もありません。皆さんの事は私が責任をもって指揮を執り導きます。私たちが踏みしめているのは、艦隊崩壊への道ではなく、勝利への一歩なのです。』
落ち着いたフィオーナの声に、将兵たちの動揺はやんだ。代わって皆が耳を澄ませて艦隊司令の言葉を聞いている。
『私は出立前のカストロプ星系のパーティーで言いました。必ず皆さんを生きてご家族の下に、大切な人の下に返してあげたいです、と。』
一瞬フィオーナがつらそうに顔を横に背けたが、すぐに話を再開した。徐々にその口ぶりは確固とした不動の調子になっていく。
『・・・・本当にそうなればいいのですけれど、それが理想論であることは分っています。ですが、みなさん一人一人がそう信じて、指揮に従っていただければ、おのずと道は開けます。生きて家族の、仲間のところに帰りましょう。みなさんの力を貸してください。お願いします。』
最後は深々と頭を下げた。艦橋要員を除いては誰も彼女の姿を直接見ることはできないのにもかかわらず、だ。だが、不思議なことに全艦隊の将兵が彼女の一挙一動を頭に描くことができたと後に語っている。
と、フィオーナが副官にうなずきかけた。副官が無言で渡したものを見た事情を知らされていない艦橋要員の幾人かは驚きを禁じ得なかった。
それは一つのヴァイオリンだったからである。彼女は静かに顎にそれを当てると、一呼吸おいて奏で始めた。
フィオーナが奏でだしたもの、それはヴェートーヴェンの第九交響曲第4楽章の「喜びの歌」の一小節だった。緩やかな旋律はフィオーナ艦隊全艦隊はおろか、すべての艦隊に解放された無線によって響き渡った。
フィオーナ艦隊の将兵たちは信じられない様子でただ茫然としていたが、やがて次々と旋律が重厚感あふれるものに変化していくのに気が付いた。
フィオーナの演奏に徐々に和す演奏者が次々と現れ、フィオーナ艦隊はオーケストラ集団と化したのである。
『全艦隊、前進継続です!!』
奏者に囲まれて演奏しながらフィオーナが指令した。無音の宇宙の中をヴェートーヴェンの第九交響曲が解放されて全艦隊を駆け巡っている。その旋律の中をフィオーナ艦隊は敵に向かって
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