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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第七十話 クライマックスに向けて駆け上がります!
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「あなたもずいぶんという事ね。なんだったらもう一遍勝負してみる?」
ティアナの言葉にリューネブルクは両手を広げた。フィオーナ同様ティアナもリューネブルクに絡まれたのでリューネブルクを一方的に昏倒させてしまったのだ。それも少々の打撲付きで。この点ではフィオーナよりもティアナの方が容赦がない。
「やめておく。これ以上戦って命とプライドを縮めるのは少々うんざりしているのでな。」
「ティアナ。」
フィオーナが諭したので、ティアナは口をつぐんだ。
「ま、とにかくだ。俺には艦隊指揮の事は分らん。せいぜい陸戦隊の分野だけだ。貴官らがあの男の眼鏡にかなうよう武勲を立てることを祈るだけだな。」
「・・・・・・・。」
「どうかしたか?」
二人が黙っているので、リューネブルクは不審に思ったらしい。
「いえ、あの・・・ローゼンリッターのことを思いだしたの。」
ティアナが重そうに口を開いた。
「フン、ローゼンリッターか。」
リューネブルクは面白そうにその言葉を繰り返した。
「あれは青二才の集団でな、白兵戦の実技も、政治的な立ち位置も、軍での評判もすべてそうだ。あんなところから抜け出すことができて、俺は清々したと思っている。」
「・・・・・・・。」
フィオーナとティアナは、彼の言葉が本当かどうか、測り兼ねていると言った顔をして彼を見つめていた。リューネブルクは窓の外に視線を映し、じっと暗黒の宇宙を見ていた。
「俺の家は伯爵家でな。」
リューネブルクは窓の外を見ながら不意に言葉を継いだ。
「さる大貴族の血筋につながる門閥貴族だった。だが、宮廷での権力闘争に敗れ、俺の父と母はあの自由惑星同盟とやらに逃げ出した。俺が生まれる前の事だった。40年程前のことになる。」
「・・・・・・・・。」
「生まれ落ちてからの俺は、帝国への呪詛を子守唄にして育ってきた。『ヘルマン、長じてからは必ず軍人になって帝国に仇を成せ。』などと一つ覚えのように言われてきたのだ。」
「・・・・・・・・。」
「だが、俺の眼には同盟も同じように映った。どこもかしこもそうだ。軍人は権力闘争にあけくれ、政治家とやらは派閥づくりに専念し、民衆はそれを放棄して政治とやらに無関心でいる。俺には好きになれなかった。」
「だから、機をうかがって逆亡命をしたの?」
「いや、そうではない。・・・どうも、おしゃべりが過ぎたようだな。尻に殻をくっつけたヒヨコのように、ピ〜ピ〜と。」
リューネブルクは立ち上がって、二人をしり目に部屋を出ていった。
「何かあるわね。リューネブルクには。」
閉まったドアを見やりながらティアナが言った。
「そうね。そう思うわ。でも何なのかしら?」
フィオーナの問いに、ティアナは肩をすくめた。
「さぁ・・・・。聞いても教えてくれないわよ。自分から話すまではね。」
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