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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第七十話 クライマックスに向けて駆け上がります!
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撃――。」
その時だった。何の前触れもなく、敵の左翼艦隊が揺らめきながら姿を消してしまったのである!!同時に奏でられていた演奏もピタリと途絶えた。
「どういうことだ!?」
リッテンハイム侯爵は唖然としたが、これは侯爵だけではなかった。後方を進んでいたミュッケンベルガー元帥、ブラウンシュヴァイク公爵ら本隊も同様だった。彼らの眼は一瞬一斉に点になったのである。
「左翼艦隊が消えたぞ!」
「何かの間違いじゃないのか!?」
「反応ありません!どこに行ったんだ?!」
「マジックかな。」
「バカ野郎!手品師じゃあるまいし!」
「まさかエイリアンに誘拐されたとか!?」
「テメェはSFの見すぎだろ!!」
などと埒もない大騒ぎが敵味方でひとしきり起こったが、それは両軍にとって致命的であった。何しろこの騒ぎのさなかにも両軍は前進しているのである。当人たちがそれに気が付いたときには、もうすでに両軍は衝突寸前の位置にまで接近していたのだった!!
「攻撃だ!攻撃開始!!」
「撃て撃て!!」
「なんだこれは?!」
「ちょ、お前――。」
「ええええ?!」
「撃ちまくれ!!」
「撃つの!?撃っていいの!?」
「ええいやむを得ん!!撃てェ!!」
「撃ちまくれぇ!!!」
「撃てェ!」
などと、両軍の指揮官が一斉に喚きだし、たちまちあたりは無数の青い光線の乱射で彩られた。中和磁場が織り成す絨毯は時折虫食いの穴が開き、それに巻き込まれた不運な艦は最後に大輪の花を咲かせて両軍の兵士の眼を光で満たしたのである。何しろ接近戦であったためにその損害は急加速して増えていった。

撃てば当たる。まさにこの言葉がぴったりとくる戦いである。

「あの小娘め!!」
ミュッケンベルガー元帥は激怒したが、同時に心臓が止まる思いだった。何しろ左翼にいたフィオーナ艦隊がごっそりと抜けてしまったために、勢いづいたリッテンハイム侯爵右翼艦隊が大攻勢をかけてきたのだった。左翼艦隊の第二陣はアルベルト・フォン・ブレーメン中将という平凡な軍人であり、敵の大攻勢に対処できるだけの器量は持っていない。唯一ブレーメン中将が持っている利点があるとすれば、彼が「ニブイ」事だ。下手にわめいたりせず、叫びもせず、鈍そうな眼を艦橋で瞬かせながら彼は終始変わらぬ指揮を執っていた。そのことが左翼艦隊第二陣の戦線崩壊を阻止していたが、それもいつまで続くかわからない。
ミュッケンベルガー元帥としては、フィオーナ艦隊を囮にしたという後ろめたさもあって、怒りは総倍になっていた。あの「小娘」がこちらの思惑に気が付いた挙句にサボタージュを決め込めば、こちらは勢いづいた敵の前に不利となる。そうなればリッテンハイム侯爵の前に二度目の敗北を喫することになるかもしれない。それだけは絶対に避けたかった。




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