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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二十話 内乱終結後(その4)
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ます」
「……」

司法省に新しく帝国広域捜査局が出来たのは知っている。何故保安省の管轄ではないのかと不思議に思ったが……。それにしてもエーリッヒは俺と准将に警察官になれと言っているのか?

「帝国広域捜査局は恒星間にまたがる犯罪を担当する組織です。しかし捜査局にはもう一つの顔がある」
「もう一つの顔?」

俺の言葉にエーリッヒは頷いた。
「そう、テロ・スパイなど帝国の安全保障に係る公安事件を担当する組織という顔です」
「……つまり俺と准将にそれをやれと」
「その通りだよ、アントン」

俺はアンスバッハ准将を見た。准将はまだ訝しげな表情を顔に残している。
「元帥、帝国広域捜査局は司法省の管轄です。何故元帥が捜査局の人事に絡んでいるのです?」
確かにその通りだ。どうにも妙な話だ、腑に落ちない。

「確かに帝国広域捜査局は司法省の管轄にあります。しかしテロ・スパイなど帝国の安全保障に係る公安事件に関しては軍の管轄になります。責任者は私です」
「!」

思わずエーリッヒの顔を見た。どういうことだ? 一体。
「閣下、それは司法尚書も了承済みのことなのでしょうか」
「ええ、今回新しく司法尚書になったルーゲ伯爵はこちらの要望を受け入れてくれました。但し期限があります、五年間です」
「五年間ですか、つまり何らかの捜査対象があるのですな」

アンスバッハ准将の問いかけにエーリッヒは頷いた。
「しかしエーリッヒ、良く司法尚書が受け入れたな。そんな事を」
「まあ、あの人は私の父の知人でね。その縁で頼んだら承諾してくれた」

嘘だ、誰だって自分の縄張りに余所者が踏み込んでくる事は歓迎しない。司法省と軍の間の取引じゃない。おそらくは政府での合意事項、少なくとも政府首班であるリヒテンラーデ侯の了承が有った筈だ。

「どうします、受けますかこの話?」
エーリッヒの問いにアンスバッハ准将が反問した。
「一つ教えてください。閣下は憲兵隊を信じてはいないのですか? 彼らは良くやっていると小官は思うのですが」

「ええ良くやっています。その事は疑問の余地は有りません。しかしその事が今問題になっています」
「……問題とは」

「有名になりすぎたことです。彼らの動きには皆が注目している。彼らが動けば相手が警戒して動きを止めてしまう」
「……」

「今回捜査対象となるのは非常に危険で厄介な組織です。私としては相手を出来るだけ油断させたい。だから憲兵隊は使いたくないんです」
「閣下、その組織とは?」

「私が答える前にそちらの回答を教えてください。私の話を受けますか?」
俺はアンスバッハ准将と顔を見合わせた。准将が頷く、俺も頷いた。
「受けます、司法省に行きましょう」

アンスバッハ准将の答えにエーリッヒは
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