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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二十話 内乱終結後(その4)
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てらっしゃい、早く帰ってきてね」
「父さん、行ってらっしゃい、お土産買ってきてね」
「馬鹿だな、父さんはお仕事に行くんだぞ、お土産買う暇なんて無いんだぞ」

お土産か、思わず笑いが出た。宇宙でお土産、何を買ってくればいいのだろう。兄に叱られ泣き出しそうにしている次男の頭を撫でた。
「お土産はまた今度だ。しかし、そうだな、帰ってきたら久しぶりにお祖母さんの家に行くか」

喜ぶ息子達を見ながら妻が心配そうに問いかけてきた。
「貴方、宜しいんですの、そんな約束をなさって。破ったりしたら責められますよ」
「大丈夫だ、作戦を終了させたら休暇ぐらいはもらえるだろう、昇進は無理だがな」
「そんな事より、どうかご無事で帰っていらしてください。私はそれだけが願いなんですから」

俺は妻に接吻し二人の息子を両腕に抱き上げた。
「安心しろ、今回は戦争じゃない、治安維持が主目的だ。俺が戦死する事などありえんよ。第一、俺が今まで戦場に出て帰ってこなかった事が有るか?」


帝国暦 488年  6月 15日  オーディン  宇宙艦隊司令部 アントン・フェルナー


宇宙艦隊司令部に呼ばれた。呼ばれたのは俺とアンスバッハ准将。呼んだのは当然だがエーリッヒだ。司令部に行くと直ぐ司令長官室に案内され応接室に通された。アンスバッハ准将は司令長官室に入るのは初めてだ。司令長官室の広さと喧騒にびっくりしている。相変わらず美人ぞろいの部屋だ。

応接室に入るとエーリッヒが中で待っていた。エーリッヒは我々を見ると
「こちらへ、適当に座ってください」
と言ってソファーを指差した。

エーリッヒはどういうわけか沈黙している。いささか居心地が悪かった。
「エーリッヒ、いや司令長官と呼ぶべきだな」
「いやエーリッヒで良いよ。これから話す事は非公式の話だからね」

非公式の話? その言葉に俺とアンスバッハ准将は顔を見合わせた。彼の表情には不審、不安が浮かんでいる。意を決したようにアンスバッハ准将がエーリッヒに問いかけた。
「非公式の話とはどういうことです、司令長官?」
「言った通りです。これからある提案をしますが、これは非公式の話です。納得がいかないなら断わっていただいて結構です」

「その事で我々が不利益を被る事は?」
「ありませんよ、アンスバッハ准将。今の時点で席を立っていただいても問題はありません。どうします?」

エーリッヒの問いかけにまた顔を見合わせた。エーリッヒは不服なら席を立てと言っている。しかし俺達は席を立たなかった。エーリッヒはこちらを見ると一つ頷いて話し始めた。

「お二人には軍を離れてもらいます」
軍を離れる?
「知っているかと思いますが、今度新しく帝国広域捜査局が出来ました。所管は司法省、そちらに移って貰い
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