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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二十話 内乱終結後(その4)
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れを手伝おう、そう思っていたんだ。こんな事は予定外だったよ」
「そうか……」

しばらくの間沈黙が続いた。お互い視線を合わせず俺はココアをゲラー夫妻は黙ってコーヒーを飲んでいる。

「ミュッケンベルガー元帥のお嬢さんと婚約したそうだな」
「うん、結婚はまだ先だけどね」
「そうか、軍を辞めて弁護士に戻るのは無理だな」
「何時かは弁護士に成りたいと思っているよ」

俺の言葉にハインツは力なく微笑んだ。その表情に胸が痛んだ。よく見れば髪に白いものがかなり混じっている。確か五十歳を超えていた筈だ。俺は嘘を言ったつもりは無い、弁護士に成るのは俺の夢だ。実現できるかどうかは分からない、しかし夢を捨てるつもりはない。

「これから父さんと母さんの墓に行こうと思うんだ」
俺がそう言うと、ゲラー夫妻は顔を見合わせた。
「そうか、じゃあ一緒に行こう」
「父さんも母さんも喜んでくれると思うよ」
俺がそう言うと二人は嬉しそうに笑った。


帝国暦 488年  6月 14日  オーディン  カール・グスタフ・ケンプ


「すまんな、またしばらく留守にする。息子達を頼む」
「はい」
俺の言葉に妻は短く答えた。さぞかし不満だろう、内乱が起きてから約半年の間家を留守にした。オーディンに戻って二週間、明日から国内の治安維持のため三ヶ月は家を留守にする事になる。

それでも俺はましなほうだ。作戦行動に入るまでに二週間の猶予をもらえた。同僚の中には一週間で作戦行動に入っている人間もいる。俺には不満は無い。今回の内乱鎮圧の功で上級大将に昇進した。息子達は俺の新しい軍服に夢中だ、格好良いと言って俺の軍服姿に喜んでいる。

当初政府内部では今回の武勲は内乱である事、そして反逆者が陛下の女婿である事から勲章のみで済ませようという意見があった。だが皇帝フリードリヒ四世陛下が“予に遠慮は要らぬ、信賞必罰は軍の拠って立つところ、昇進させよ”と仰られた事で俺は上級大将になる事が出来た。俺は運が良い。信頼できる上官と主君に出会う事が出来た。

「父さんはな、これから遠くの宇宙まで悪い奴を退治しに行く。二人とも男の子だ、母さんを守って良い子でいるんだぞ」
「父さん、僕も軍人になって悪い奴を退治する」
「僕も」

息子達が口々に軍人になると言い出した。
「残念だがお前達が大きくなる頃には悪い奴はいなくなっているかもしれん。父さんがやっつけてしまうからな」

俺の言葉に息子達は不満そうに声を上げた。
「これから良い時代になる、焦る必要は無い。自分が何になりたいかゆっくり考えればいいさ」
「ほら、父さんに行ってらっしゃいを言わないの?」

妻に促がされて長男のグスタフ・イザークと次男のカール・フランツが口々に言葉を出した。
「父さん、行っ
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